少年漫画に登場するキャラクターたちは、ひと目で誰か判別できるほど実に個性的な姿をしているのが特徴だ。しかし、連載初期のデザインと現在を改めて見比べてみると、イメージが大きく異なるケースも少なくない。
中には、現在の姿からは想像もつかないほど雰囲気が違いすぎて、思わず「誰?」と驚かされてしまうようなキャラクターも存在する。
そこで、そんな人気少年漫画キャラクターたちの、今見るとどこか初々しさすら感じる初期デザインを振り返っていこう。
※本記事には各作品の内容を含みます
■悪党のような風貌だった『キン肉マン』ラーメンマン
数々の個性的な超人たちが登場し、ド迫力かつ破天荒なプロレス技で激突する、バトル漫画『キン肉マン』(ゆでたまご)。
敵味方問わず、1度見たら忘れられない独創的なデザインのキャラクターが多い本作だが、連載初期と現在で大きくイメージが変わったのが、人気キャラの1人であるラーメンマンだろう。
ラーメンマンといえば、面長の顔に長く結わえた辮髪(べんぱつ)、どじょう髭、そして拳法着を身に纏った姿が実に特徴的だ。その達人のような見た目通り、作中ではかなりの技巧派で、拳法を主体とした多種多様な必殺技を披露している。
人格者として描かれるラーメンマンだが、初期は残虐超人として登場したこともあり、どこか悪党的な一面が強めに押し出されている。体つきも現在に比べるとかなり細身で、キン肉マンに技を仕掛ける際は「グヘヘヘ」と歯を見せて邪悪に笑うようなシーンもあった。
感情の起伏もかなり激しく、目を見開いたり、歯茎をむき出しにして叫ぶような場面も多々登場していた。
当時の活躍を見ていた読者は、彼がのちに正義超人として活躍する展開は予測できなかったに違いない。
■体中に目が付いていた?『幽☆遊☆白書』飛影
交通事故死してしまった中学生が霊界探偵となり、霊界や魔界といったさまざまな世界で激闘を繰り広げる『幽☆遊☆白書』(冨樫義博氏)。
作中には妖怪をモチーフとしたキャラクターが多数登場するが、中でも独特な見た目で読者を驚かせたのが、後に主人公・浦飯幽助の仲間となる飛影だ。
逆立った黒髪と鋭い眼差し、漆黒の衣服に白い鉢巻がトレードマークの飛影は、クールな性格の人気キャラである。魔界の黒炎を操る術や、額に隠した「邪眼」の能力など、高い戦闘能力で頼りになる仲間として活躍した。
そんな彼だが、初登場時は盗賊の一味として幽助らと敵対している。この際、飛影は力を開放した妖怪としての真の姿を披露しているのだが、それは変色した肉体の至る箇所に目が付いているという、怪物然としたデザインをしていたのだ。
加えて、登場初期はかなり感情の起伏が激しく饒舌であり、のちのクールな立ち振る舞いからは想像できないハイテンションな飛影の姿を見ることができる。
■好青年のイメージはなし?『ジョジョの奇妙な冒険』花京院典明
ある一族に受け継がれていく因縁を、時代や舞台を変えながら脈々と描き続ける物語が『ジョジョの奇妙な冒険』(荒木飛呂彦氏)だ。
中でも、登場初期から大きく雰囲気が変わったキャラクターといえば、第3部に登場する花京院典明だろう。彼は主人公・空条承太郎の前に最初に立ちはだかった敵スタンド使いで、この戦いを境に味方の1人として旅に同行することとなる。
長く特徴的な前髪と学生服、いかなるときも冷静沈着な物静かな美男子で、多くの敵スタンド使いを退けてきた。
そんな彼だが、敵として登場した際のビジュアルからは、お世辞にも好青年というイメージを抱くのは難しい。
おおよその特徴は共通しているものの、髪の毛がより一層ウェーブがかかっていたり、虚ろな眼差しを浮かべていたりと、どこか高校生離れした色気のようなものすら感じさせる。
その上、首に長いストールのようなものを巻いていたり、スタンドを操る際に操り人形を手にしていたりと、敵キャラとしての不気味さがより強調されるように描かれていた。
本作の特徴でもあるホラー的なディテールが盛り込まれた、今となっては少しレアな姿と言えるだろう。


