1995年12月9日に発売されたスーパーファミコン用ゲーム『ドラゴンクエストVI 幻の大地』が30周年を迎えた。
ドラクエシリーズの中でも複雑な物語として知られ、悲しい背景を持つキャラクターも登場。そんな中、主人公の最初の仲間となるハッサンは、オープニングから面倒見の良さそうなアニキ肌であり、強さ、性格ともに頼もしいキャラクターだった。
多くのプレイヤーにとって一番信頼のおける相棒のような存在であり、とくにバトルの面では重宝したはず。そこで『ドラクエ6』30周年を機に、もう一度彼の魅力をおさらいしておきたい。
■なぜか、たけやりがよく似合う「ガチムチマッチョ」
主人公はゲーム開始からすぐにハッサン、ミレーユとともに魔王ムドーを討伐するために城に乗り込むも敗れて石化され、意識だけが上の世界に渡ってしまう。2つの世界を行き来して、意識と肉体を取り戻し、世界の平和を守るというのが本作のおおよその流れ。ハッサンは上の世界にあるレイドック城の兵士参加イベントで出会うことができる、主人公にとって最初の仲間だ。
初期加入時レベル3のハッサンは、経験値35を加えるとすぐにレベル4へとアップ。ここから体力と力のステータスが抜群の伸びを見せ、攻撃力も高く常に前線メンバーとして重宝する。HPの高さから主人公を2番手にして、ハッサンを先頭に並び替えたプレイヤーもいることだろう。
当時スーパーファミコンなのでドット絵なのだが、パッケージやカセットに描かれたイラストや説明書、公式ガイドブックなどでハッサンがとんでもないマッチョであることが分かる。筋骨隆々で髪は紫色のモヒカン、顔まで筋肉でできているかのようにイカつく、同じ鳥山明さんのキャラでいうなら『ドラゴンボール』の人造人間16号やリクームをほうふつとさせる。
そんなハッサンだが実は頭もいい設定なのか、公式ガイドブックでは「パラディン」の代表キャラとして描かれていたりもする。
同作は「戦士」「武闘家」などの基本職を経て、「バトルマスター」や「魔法戦士」といった上級職に転職できるシステムが特徴。各キャラをどの職に就かせるのかが悩みどころだったが、「僧侶」と「武闘家」を経験した聖騎士「パラディン」のイメージがハッサンなのは少々意外である。
そのうえガイドブックに描かれていた“たけやり”を持った彼の姿はなぜか絶妙に似合っていた。
■みんな大好き「せいけんづき」 転職しなくても頼れる特技が豊富
また、ハッサンといえば特技である「せいけんづき」のイメージが強い。本作から特技が大幅に増え、味方キャラも自在に扱えるようになった。とはいえ、冒険の序盤はダーマ神殿で転職しない限り、どのキャラもレベルアップで覚えるのは呪文ばかり(主人公の「おもいだす」は別)。
それなのにハッサンだけは、貴重な特技をどんどん覚えていく。しかも、本来は上級職にならないと習得できない強力な技を自力で覚えてくれるからビックリする。
まずレベル5になると「とびひざげり」を習得。これは浮遊系の敵に1.5倍のダメージを与えられる技だ。これは上級職のバトルマスターが熟練度5の「ヘビーきゅう」で覚える技。通常ならかなり後から習得する技だけに、ハッサンの潜在能力の高さがうかがえる。
次にレベル14で「すてみ」を覚える。これは文字通り捨て身の攻撃を行い、与えるダメージが2倍になるかわりに、受けるダメージも2倍になってしまうというもの。
しかし元々HPが高いハッサンは、少々ダメージが増えたところで簡単には倒れない。むしろ攻撃力が上がるメリットが大きいため、かなり重宝する。こちらの技も上級職であるパラディンが熟練度3の「スチールナイト」で覚える技なだけに、これを自動的に習得するハッサンの自力は素晴らしい。
そして、レベル18になると「におうだち」を習得。こちらは仲間に降りかかるすべての攻撃を自身が代わりに受けとめるというもの。これもHPが高いハッサンにふさわしい技で、本来はパラディンが熟練度6で覚える。
そしてハッサンは下の世界のムドー戦の前に、イベントにて「せいけんづき」を覚える。これはハッサンの代名詞ともいえる強力な特技で、耐性を持たない敵には通常攻撃の2倍のダメージをそのまま与える。ミスをして攻撃が外れることもあるが、恐らくほとんどのプレイヤーがハッサンの主力特技として愛用したのではないだろうか。
そのほかのキャラも武闘家を選んで熟練度5で覚えるのだが、ほとんどの場合ハッサンほどの威力は期待できない。そもそもムドーを倒さないとダーマ神殿は登場しないので、「せいけんづき」は武闘家の特技というよりも、ハッサンの固有特技のように思っている人も多いことだろう。
それにしても転職後の熟練度の高い特技ばかりを自然に身に付けていくハッサンの格闘センスは素晴らしく、実に頼もしい仲間なのである。


