２０２５年１０月３０日に発売されたＨＤ－２Ｄ版『ドラゴンクエストI＆II』（スクウェア・エニックス）。昨年発売されたＨＤ－２Ｄ版『ドラゴンクエストIII そして伝説へ…』を含めて、「ロト三部作」と呼ばれるドラクエシリーズの集大成となる。
しかし本作は、発売当初から特に戦闘面において「難しすぎる」という意見も多くあがっていた。もしかすると、そんな口コミで敬遠したファンもいるかもしれない。そこで今回は、歴代ドラクエシリーズをプレイしてきた筆者が、ＨＤ－２Ｄ版『ドラクエ１＆２』をクリアしたうえでの率直な感想を、できるだけネタバレなしでお伝えしたい。興味を持っている人の参考になれば幸いである。
※本記事には作品の内容を含みます。
■もはや別ゲー？ 難易度が増したバトルシーン
発売後から賛否両論あるのが『ドラクエ１』の戦闘面ではないだろうか。従来の『ドラクエ１』では、主人公とモンスターの１対１の戦闘だったが、ＨＤ－２Ｄ版では『ドラクエ１』でも複数の敵が同時出現。そのことで難易度が上がることは発売前から予測されていた。
実際にプレイしてみると、『ドラクエ１』の戦闘に関しては前評判通り、相当難しくなったと感じた。対策を講じるまでは何度も死ぬことは避けられず、いわゆる「死にゲー」に思えたほどだ。
こちらは基本１人のうえに、行動できるのも１ターン１回限り。それなのに敵は複数出現して、複数回行動や状態異常などやりたい放題してくる。
そのため、特にボス戦では、失敗を糧にしながら効果的なアクセサリーに付け替えたり、ボスが使用してくる属性ダメージを軽減する装備に変えたりと、対策を積み重ねることが重要になるのだ。
中には「ドラクエにここまでの難易度を求めていない」という声もあり、同じボスに何度も負けたときは筆者も同じ気持ちになったことがある。
しかし、本作の戦闘はゴリ押し一辺倒ではいかないものだと受け入れたら、いろいろと対策が用意されていることに気づく。たとえば物理攻撃が中心のボスならば、戦闘特技の「うけながし」が絶大な効果を発揮した。
さらにはゲーム中でもゲームの難易度は変更可能なので、シンプルにストーリーを楽しみたいなら、その選択もありだろう。
そしてソロでの冒険が主体の『ドラクエ１』で苦労したあとは、４人の仲間と冒険できるようになる『ドラクエ２』の番だ。仲間が増えたことによって、攻撃、回復、補助呪文といった役割分担ができるため、戦略の幅は一気に広がる。
特に今作の目玉である「超絶技」は、特定の条件下で強力な技を発動できる新システム。この超絶技は、仲間の補助呪文や特技によって威力を最大化させることができ、ドラクエらしからぬ大ダメージを叩き出すこともできるのだ。
その攻撃が決まったときの爽快感は今作ならでは。ストーリーを中心に楽しみたい人や、複雑なバトルが苦手な人は、途中からでも難易度を「楽ちんプレイ」に変えてプレイすることをオススメしたい。
■グッと深みが増した仲間たちのキャラクター性
過去の『ドラクエ２』は、主人公の「ローレシアの王子」「サマルトリアの王子」「ムーンブルクの王女」による３人旅。しかし冒険中に彼らがどのような人物なのか描かれないため、プレイヤーが想像するしかなかった。
それがＨＤ－２Ｄ版『ドラクエ２』では、新たに４人目の「サマルトリアの王女」が仲間に加わり、パーティ内の関係性も掘り下げられている。イベントのたびに仲間たちが会話し、その掛け合いが楽しく、仲間たちの絆が深まっていく演出は見逃せない。
マイペースかつ能天気な「サマルトリアの王子」。高い知性で仲間を助ける「ムーンブルクの王女」。おてんばな「サマルトリアの王女」など、それぞれのキャラ付けが明確になり、パーティでの役割分担も絶妙だった。
ここまでキャラが立っているなら、仲間たちとの会話が楽しめる「はなす」コマンドが欲しかったと感じるほど。従来のロトシリーズのファンなら、個性的な仲間たちの一挙手一投足に魅力を感じるはずだし、個人的には物語が終わりに近づくにつれて「彼らともっと冒険がしたい」と思ったほどだ。
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