■存在感が薄かった「悪霊の神々」たちも大活躍

 本来、ファミコン版『ドラクエ2』のサブタイトルは、「悪霊の神々」である。だが、ファミコン版をプレイしても、悪霊の神々の活躍がストーリーで描かれるわけではなく、結局誰のことを指しているのかよく分からないほどだった。

 今ではボスキャラの「アトラス」「バズズ」「ベリアル」のことになっているが、ファミコン版ではラストダンジョンで突然戦闘する強敵という印象しかない。

 それがHD-2D版『ドラクエ2』では、「悪霊の神々」というサブタイトルがしっくりくるような展開となっている。主人公たちとの絡みが増え、出自や組織での役割なども描かれている。

 さらに、「悪霊の神々」もしっかりキャラ付けされ、それぞれの個性が明らかになった。これによって彼らとの戦闘が、よりドラマチックなものになるよう演出されている。

 ロトの子孫である仲間たちと、悪霊の神々の掛け合いは、過去作をプレイしていた身からすると非常に興味深く、見ていて楽しかった。ドラクエ好きであるほどニヤリとできるシーンが多いので、これが気になる人はぜひ自分の目で確かめてみてほしい。


 HD-2D版『ドラゴンクエストI&II』は、リメイク作品ということもあってさまざまな意見があるのは間違いないが、その多くは戦闘の難易度の高さに対する不満だと思われる。それならゲームの途中でも難易度は変更可能なので、少しでもラクにプレイできる道を選ぶのも手だ。

 個人的には『ドラクエ2』で仲間が増えてからの戦闘は、戦略的な歯ごたえもあって、かなり楽しめる内容に思えた。

 ロトの物語を追加ストーリーによって最大限まで深く掘り下げ、キャラクターもさらに魅力的に描かれた作品だけに、ネガティブな声を鵜呑みにしてプレイしないのはもったいないとも感じる。少しでも興味を持ったドラクエ好きの人は、ぜひ年末年始にでもプレイしてみてはいかがだろうか。

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