アニメ『野原ひろし 昼メシの流儀』ひろし声優・森川智之が語る「バズリセリフ」の裏側 「本編では言わないようなセリフが好きです」の画像
森川智之 (C)AXLONE

 2025年10月から放送されているアニメ『野原ひろし 昼メシの流儀』。原作は、『クレヨンしんちゃん』のスピンオフとして野原ひろしの昼メシにスポットを当てた漫画で、『クレヨンしんちゃん』本編とは一味違う魅力を放つひろしの存在感やセリフが、多くのファンを楽しませてきた。待望のアニメ化に、野原ひろし役の森川智之さんは何を思うのか。本編よりも大変だというアフレコについて、そして大バズリとなった台詞「テーマパークに来たみたいだぜ」の裏側も聞いた!

【第1回/全2回】

 

ーー第1話「カレーの流儀」「マグロ丼の流儀」回が、ニコニコ動画で公開から14日で再生回数100万回を突破するなど話題となっています。本作は『クレヨンしんちゃん』のスピンオフという側面がありますが、それぞれの“野原ひろし”の演じ方に違いはありますか?

森川智之さん(以下、森川) 絵のタッチは違いますが、演じる上で何かを変えることはなく、『クレヨンしんちゃん』の“野原ひろし”のまま演じています。基本的には変えていないものの、デフォルメされたちっちゃいひろしが画面の隅に出てくるような、そういう遊びの部分は本編にはないので、楽しくやらせていただきました。

ーー本作のひろしは、『クレヨン〜』よりも感情の起伏を見せてくれますよね。

森川 そうですね。もう大変だったんですよ、ずっと喋っているから(笑)。本編では、普段は「ただいまー」くらいで、メインの回がたまにあるレベルじゃないですか。こっちではシーンがランチタイムだけで、ひろしが喋るしかないのでね。

ーーどんな大変さですか?

森川 ずっと喋っているのが体力的に大変でした(笑)。モノローグのシーンは別撮りしているので、本番を2回収録しているようなものなんですよね。

ーー1話を2回に分けて録っているんですか。

森川 いや、それにプラスして、そしゃく音とかの食事シーンのアドリブも入れています。それもあとで重ねるので、実質3回録っていると言ってもいいかもしれません。共演者もいるけどマイクの前に立っているのはほとんど僕で、思わずパッと後ろ見て「みんな仕事してんの!?」と思ってしまうくらい(笑)。

ーー「双葉商事」のひろしの後輩・川口も本編と違ってたくさん出てきますよね。

森川 そうなんです。これからいろんなサブキャラクターが登場しますし、いろいろな演出もあるので、そのあたりも楽しんでもらえるとうれしいなと思います。

ーーたくさんのセリフがある中で、アニメPV解禁時では「串かつの流儀」でひろしが発した「テーマパークに来たみたいだぜ」が異様な盛り上がりを見せてバズリました。

森川 「串かつの流儀」は、僕も大阪で串かつを経験して、ひろしと同じような気持ちになりました。気合いを入れて臨まないと怒られると思って、「二度漬けはダメなんだよな……!」とか。

ーー森川さんのお気に入りのセリフはありますか?

森川 本編では言わないようなセリフが好きですね。たとえば、第1話「カレーの流儀」の「ベリー……ホットッ……」とか、「最後にチャイは勝つ」とかね。そういうセリフが各話ごとに上手いこと入っているんですよね。

ーーそんなひろしに対して、改めて愛着が湧きそうですね。

森川 そうですね。野原家の父親として、外で営業マンをがんばっている姿が垣間見えるのが魅力的です。家に帰ったらみさえの家事を手伝い、ひまわりとしんのすけのお世話、シロの散歩……と次々と降り掛かって、もしかしたら本当にひとりになれる時間って、この「昼メシ」の時間だけなのかなと。そんなひろしを通じて、世のお父さんの「限られたお小遣いで好きなものを食べよう」というささやかな幸せが、切なくも愛おしくも思います。

 そういった今まで見られなかった部分を克明に見ることができて、しんちゃんファンもひろしファンも楽しめるのではないかと思います。

 あと、「食べる」ことって誰にとっても共通しているじゃないですか。単にお腹をふくらませるだけではなく、美味しいものを「美味しいね」と食べられるのはとても幸せなのだということを、この番組を通じて伝えていけたらいいなと思います。

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