■星を渡るサイボーグ戦士……その名はケン!?

 このソフト、私が在籍していた「テクノスジャパン」の開発室に置いてあったんですよ。ちょうど『ダブルドラゴンIII ザ・ロゼッタストーン』(テクノスジャパン/1990年)のファミコン版のデバッグをしていた時期だったかな。だから、遊んだことがあります。

 主人公はメタルアーマーを着た宇宙戦士のようなキャラで、サイボーグだったかな。星々を渡って、敵と戦っていく横スクロールアクションゲームでした。これだけ聞いても、『ストリートファイター』との関連性はまったく見出せませんよね? パンチやキックをすると、手足から衝撃波のようなものが出て飛んでいくんですが、あれがちょっと「波動拳」ぽい、というくらいです(笑)。

 ところで、海外で販売された本作のNES版は、内容自体はまったく同じながら、主人公が『ストリートファイター』のケンという設定になっているようなんです。パラレル設定のようで、ストリートファイター・トーナメントに優勝してから25年後、科学者となっていたケンが新たな戦いに身を投じるというお話みたいです。

 そのせいか、日本版では『2010』がタイトルで『ストリートファイター』がサブタイトルのような扱いなのに対し、海外版は『STREET FIGHTER 2010』というタイトルです。さらにややこしいのですが、『THE FINAL FIGHT』という副題が付いています。

 こんな設定、当時は全然知りませんでしたし、連想もできませんでした。だって、ケンとは似ても似つかぬキャラクターなんですよ。実際、日本版の主人公はケビンという名前だそうです。

■2010年が遠い未来だった時代の横スクロールアクション

 ステージは未来感にあふれていて、『ストリートファイター』よりも、『ロストワールド』(カプコン/1988年)や『サイドアーム』(カプコン/1986年)といったシューティングゲームの世界観と共通するものがあるなぁと思っていました。

 パッケージにもデカデカと“2010”と描かれていて……未来感を強く打ち出していたんでしょうね。でも今や、2010年も過去になってしまいました。

 また、横スクロールアクションとしては、世界観は全然違いますが『闘いの挽歌』(カプコン/1986)を思い起こしていましたね。とても難しく、自分では絶対クリアできないと思って、同僚がプレイするのをよく横で見ていました。

 でも、おもしろいゲームではありましたね。BGMもすごくカッコよかったのを覚えています。


※ソフトの値段や状態などは取材時のものです。

 

【プロフィール】
大竹剛(おおたけ・つよし)
「レトロゲーム」に造詣が深い“元ドット絵職人”。ゲームメーカー「テクノスジャパン」で、主に『くにおくん』シリーズにドッターとして参加。現在は「ハードオフTOKYOラボ吉祥寺店」で店長を務める。本人もレトロなゲームのコレクター。

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