■新境地開拓!三谷さんも認める芸人たちの存在感
これまでのドラマでも意外な登場人物が出演してきた三谷作品。その後の三谷組の常連になるケースも少なくなかったが、今回、お笑いコンビ・コントオブキングスの彗星フォルモンを演じるバイきんぐの西村瑞樹さんの演技に魅了されている視聴者は多いのではないだろうか。
『真夏の世の夢』では、相方の王子はるおがディミートリアスを、フォルモンがシーシウスと妖精王オーベロンの二役を務める。フォルモンは自分の相手役がペトラ鈴木ということで不満タラタラ。
オーベロンは浮気性で、妻のタイターニアから怒りを買う人物だ。立稽古でペトラがアドリブで彼のお尻を蹴ったのだが、プライドが高く、いつもはツッコミ役でもあるフォルモンはこれが許せなかった。
すると久部は「演出家は役者の良いところを見つけるのが仕事だ。あなたは自分で気づいていないが、たまに見せる悲しそうな顔がいい」と熱弁。見ていた皆も頷き、この言葉にフォルモン自身も気づきを得たような顔を見せる。
その後、フォルモンははるおにボケとツッコミを逆にしようと提案。すると、これが驚くほどハマるのだ。笑いの流れが一変し、新しい自分を発見したフォルモンは元気よく現場に戻りボケとして本領を発揮するのだった。
西村さんが演じたフォルモンの変化が、3話の大きな見どころであり、この後の劇団の希望のようにも描かれる。駄々っ子のような姿から、気づきを得たあとの晴れやかな表情まで、もはや役者としての輝きを放っている。
三谷さんはYouTube『佐久間宣行のNOBROCKTV』出演した際、「役者として伸びる芸人ランキング」で2位にラバーガール・大水さんを選出している。その理由として「喋っていないときのリアクションがいい」と語っていた。ちなみに、ドッキリで見せた大水さんの自然な表情が、当時執筆していた『もし学』のキャラクター設定にも影響を与えたそうだ。
そして、このランキングで1位となっていたのが、意外にも西村さんだった。
三谷さんは、選んだ理由について「洗剤のCMで見せた漂流民の演技がリアルで素晴らしかった」と絶賛し、「彼はまだ自分の才能に気づいていない。何も考えていないように見えるけど、そこが演技には大事なことでもある」と語っていた。今後、この二人はさらなる活躍を見せてくれることだろう。
久部の構想が現実味を帯びてきた3話は、舞台裏の人間模様も含めて、三谷さんらしい役者を輝かせる瞬間が詰まっていた。トニーやフォルモンが覚醒し、少しづつ場の空気もよくなる一方で、まだ問題は山積みだ。上演まで残り3日。果たして彼らは無事に幕を上げることができるのだろうか。


