■学ランのくにおくんが海外では『ダブルドラゴン』に!?
さて、くにおくんシリーズの元祖『熱血硬派くにおくん』(ファミコン版は1987年)にもNES版が存在します。タイトルは『RENEGADE』。もともと、タイトーがパブリッシャーとなり、アーケード版を『RENEGADE』として海外で展開していました。NESのカートリッジにも「TAITO」のロゴが入っています。
また、デフォルメしたキャラクターで人気を博した『ダウンタウン熱血物語』(1989年)のほうは、NESでは『River City RANSOM』として、テクノスジャパンの系列会社・アメリカンテクノスからリリースされました。
『RENEGADE』も『River City RANSOM』も、キャラクターなどグラフィックは描き換えられていて、『RENEGADE』のほうは不良高校生という設定も変更されているようです。『River City RANSOM』は学ランこそ着ていませんが、高校という設定は生きているようなんですね。パッケージの絵は高校というより監獄みたいですけど(笑)。
もうひとつ、ゲームボーイに『熱血硬派くにおくん 番外乱闘編』(1990年)というタイトルがあるのですが、これ、海外では『ダブルドラゴンII』として出てるんです。
『ダブルドラゴン』(1987年)は、やはりテクノスジャパンの人気IPで、アーケードのベルトスクロールアクション。1990年にゲームボーイに移植されました。日本では『ダブルドラゴンII』というゲームボーイソフトは存在しません。
『熱血硬派くにおくん 番外乱闘編』は、くにおやりきが出てくるゲームですが、『ダブルドラゴンII』では、『ダブルドラゴン』の主人公・リー兄弟に差し替えられています。背景や音楽も変更されています。
実は発売当時に、国内版と海外版とで通信プレイできないか、このソフトでも試してみました(笑)。結果、普通に進めるとうまくいかないのですが、途中参加という仕組みを使うと、協力プレイができたんですよ。
こっちはくにおくん、向こうは『ダブルドラゴン』というまったく違う世界で一緒に遊べるのが、並行世界のようですごくおもしろいんです! 社内でも騒いだんですけど、新入社員のたわごとは誰も聞いてくれなかったですね(笑)。
※ソフトの値段や状態などは取材時のものです。
【プロフィール】
大竹剛(おおたけ・つよし)
「レトロゲーム」に造詣が深い“元ドット絵職人”。ゲームメーカー「テクノスジャパン」で、主に『くにおくん』シリーズにドッターとして参加。現在は「ハードオフTOKYOラボ吉祥寺店」で店長を務める。本人もレトロなゲームのコレクター。