黄金期りぼん名作・小花美穂『こどものおもちゃ』で描かれた「激重すぎる」シリアスエピソード 家庭崩壊から刑事事件まで…の画像
DVD-BOX『こどものおもちゃ』小学生編BOX1 (C)小花美穂/集英社 (C)小花美穂/集英社・NAS

 1994年から98年にかけて少女漫画誌『りぼん』に連載され、大ヒットを記録した小花美穂氏による『こどものおもちゃ』。1996年にはテレビ東京系列でテレビアニメの放送もスタートし、原作同様に多くの視聴者を惹きつけた。

 子役タレントとして活躍する小学生・倉田紗南を主人公に、いじめや捨て子、学級崩壊、家庭崩壊といったヘビーな題材を子ども目線で描いた本作。一見すると暗いストーリーになりそうな内容も、コメディを織り交ぜることで重苦しさが和らぎ、胸が揺さぶられる物語へと昇華されている。

 今回は、そんな『こどものおもちゃ』で描かれた重すぎるエピソードを振り返ってみたい。

 

※本記事には各作品の内容を含みます

 

■羽山家に根付く深い闇を切り裂いた紗南

 『こどものおもちゃ』の中でも、読者に大きな衝撃を与えたのが、羽山秋人の家庭をめぐるエピソードだ。秋人が抱える闇の描写は序盤から丁寧に描かれている。

 物語の冒頭、小学6年生の紗南のクラスは男子生徒が荒れており、学級崩壊に陥っていた。その元凶が、この秋人だった。

 担任教師にインク入りの水鉄砲を浴びせたり、女子を池に落としたりと、やりたい放題の秋人。ついに堪忍袋の緒が切れた紗南は宣戦布告をする。そして、彼の悪行を止めようと動く中、羽山家に流れる冷たい空気を感じ取る。

 紗南の活躍によりクラスは平穏を取り戻すが、対照的に秋人は孤立を極め、歩み寄ろうとする紗南に対し“俺を殺せ”と衝撃的な言葉を吐くほど、精神的に追い詰められていた。

 その言葉の背景を探るべく羽山家に乗り込んだ紗南が目にしたのは、姉から“あんたのせいでお母さんは死んだ! あんたがお母さんを殺したんだ!”と罵られる秋人の姿であった。ここで、彼の抱える孤独の根源が明らかとなる。

 秋人の母親は、彼を出産した際に命を落としていたのだ。以来、そのことを恨んだ姉は、秋人を「悪魔」と呼び日常的に虐げ、父親はそんな荒れる家庭から目を背け続けていた。結果、秋人の心は荒み、自分は要らない人間だと思い込むようになっていたのだ。

 これに怒った紗南は、秋人の悪行の原因が家庭にあると断言。そして、秋人の傷ついた心を家族に伝えるため、現在自身が出演中の不協和に苦しむ家族のドラマを見るよう彼らに促した。

 さらに秋人に対してはドラマの母親役のセリフ“愛してるからあなたを頑張って産んだのよ。だからママの分も頑張って生きてね”という言葉を送り、尖った心を解きほぐす。このドラマを見たことをきっかけに、父と姉は自分のおこないを省み、改めて秋人と向き合っていく。秋人もまた、少しずつ家族に心を許していくのだった。

 まだ小学生である秋人の心に刻まれた苦しみと絶望に胸が痛くなるエピソード。しかし、紗南のまっすぐな優しさと愛情が、彼の闇を溶かしていく様子は感動的である。

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