■『グレンラガン』の反響から受けた影響

――『天元突破グレンラガン』のときは中島さんが書いた第1話の脚本を、今石さんが「そんなんじゃオレのドリルは回らないんだよ」と言いながら破き、『キルラキル』のときは中島さんが書いた3話くらいの脚本を、今石さんは「そんなんじゃオレはセーラー服が着れないんだよ」と言いながら破いた。そして『プロメア』のときは中島さんのほうから「これじゃないよね」と脚本の第一稿を破って、中島さんが第二稿を出したら今石さんが「これじゃオレは燃えないんだよ」と言いながら破った……という逸話があると聞きました(笑)。

中島:最近はね、今石さんはハードディスクを指で貫く技を身に着けたそうです。いまは脚本をデータで渡すことが増えましたからね。僕がデータで脚本を渡したとしても、指1本で消滅できる。そのために指を松尾象山並みに鍛えていると聞きました。恐ろしい男です(笑)。

――どんどん逸話がバージョンアップして行きますね(笑)。さて、今石さんとのアニメのお仕事で、中島さんが演劇の脚本にフィードバックしたこと、影響を受けたことはありますか。

中島:『天元突破グレンラガン』のときに、今石さんから「アニキ(登場人物のカミナ)に名乗りをさせたい」と言われたんです。そのころ、僕は五七五のリズムの名乗りにちょっと飽きていたころだったんですけど、今石さんからのお願いだったので「じゃあ、やるか」と名乗りのセリフを書いたわけです。

――『天元突破グレンラガン』第1話の「ジーハ村に悪名轟くグレン団、男の魂背中に背負い、不撓不屈の鬼リーダー、カミナ様たぁ俺のことだ!」というカミナの名乗りはとてもインパクトがありました。

中島:そうそう。そうしたら、アニメを観ている若い人たちにウケたわけです。「ああ、やっぱり七五調っていうのは強いんだな」と感じたんですね。

 そのあと、新感線で『五右衛門ロック』を書いたときに、最初は七五調の名乗りを入れるつもりはなかったんですけど、「『グレンラガン』でもウケたし、名乗りを書いてみるか」と、五右衛門たちが顔を揃えるときに入れたんです。そうしたら、もうお客さんが興奮してくれて。それ以来、『五右衛門ロック』の名乗りのシーンは名物になった。それは本当に直接的なアニメの現場から受けた影響ですね。

――今石さんは劇団☆新感線のファンでもあったから、『グレンラガン』で中島さんに七五調を求めたのは、劇団☆新感線の影響とも言えるんじゃないでしょうか。

中島:あぁなるほど、ドリルですね。「ドリルは同じところを回転しているように見えるけれど、一回転すればほんの少しだけ前に進む、それがドリルなんだよ」。

――『グレンラガン』のクライマックスの主人公シモンのセリフですね。

中島:セリフの譜を踏むみたいなことはずっとやってきましたからね。『キルラキル』の(鬼龍院)皐月とかね。もう、あのあたりは自然と勢いだけで出てきます。

――過去のインタビューでおっしゃっていましたが、アニメの『天元突破グレンラガン』においても、演劇の作品にしても、被支配者たちが支配に抵抗する「まつろわぬ者」が描かれています。中島さんにとって、このテーマを書き続けることにはどんな思いがあるのでしょうか。

中島:単純に、自分がそこに興味を持っているということなんです。自分が興味のある題材にどれだけしっかりと向かい合えるか。そこに関しては、自分をごまかさずにずっと続けてきた自負があります。

――ご自身が面白いと思うものを書いてきた。

中島:その思いはありますね。だから、今これが受けているからそれに乗っかろう、みたいに思ったことがあまりない。自分たちの成功の法則みたいなことが唯一あるとすれば「自分たちが面白いと思ったことしかやらない」ということ。そこだけはブレていなかったからこそ、ここまでやってこられたんだなという気がしています。

中島かずき  撮影/イシワタフミアキ

【プロフィール】
中島かずき
1985年、『炎のハイパーステップ』より座付き作家として劇団☆新感線に参加。『髑髏城の七人』『阿修羅城の瞳』など、歴史や神話をモチーフに物語性を重視した作品を多数手がける。2003年には、『アテルイ』で第47回岸田國士戯曲賞を受賞。また、演劇以外にも映像作品の脚本、コミック原作も執筆し、アニメ『天元突破 グレンラガン』『キルラキル』、特撮『仮面ライダーフォーゼ』、劇場アニメ『プロメア』など、ポップカルチャーの分野でも多くの話題作を生み出している。

爆烈忠臣蔵~桜吹雪THUNDERSTRUCK

<作品紹介>
2025年劇団☆新感線45周年興行・秋冬公演
チャンピオンまつり いのうえ歌舞伎 『爆烈忠臣蔵~桜吹雪THUNDERSTRUCK』

【作】中島かずき 【演出】いのうえひでのり
【出演】古田新太 橋本じゅん 高田聖子 粟根まこと 羽野晶紀 橋本さとし/
小池栄子/早乙女太一/向井理 ほか

【松本公演】2025年9月19日(金)~23日(火祝) まつもと市民芸術館
【大阪公演】2025年10月9日(木)~23日(木) フェスティバルホール
【東京公演】2025年11月9日(日)~12月26日(金) 新橋演舞場
【公式サイト】https://www.vi-shinkansen.co.jp/bakuretsu45/

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