■シンプルだからこそ怖い『かまいたちの夜』
1994年に発売された『かまいたちの夜』(チュンソフト)は、「サウンドノベル」の名作ホラーミステリーだ。
スキー旅行に出かけた主人公・透とガールフレンド・真理がある殺人事件に巻き込まれるという内容で、閉ざされた雪山のペンションにワケありな宿泊者たち……と、いかにもなシチュエーションについテンションが上がってしまう。
本作はミステリーとしての完成度が高いことで知られているが、それも当然の話。本作のシナリオを担当したのは、『殺戮にいたる病』などで知られるミステリー作家・我孫子武丸氏なのだ。あちこちに散りばめられた伏線や手がかりを拾い集め、それらをつなげて真相にたどり着いた時の気持ち良さは、練りに練られたストーリーだからこそ味わえるものだ。
また、随所で効果音が絶妙なタイミングで挿入されるのも印象的である。雪が落ちる音、鳩時計の音、吹雪の音、床がきしむ音……そうした音が臨場感を生み出し、プレイヤーが物語の世界観に没入する助けとなる。
ゲーム内で人物が青いシルエットで表現されているのも特徴で、これが『かまいたちの夜』の代名詞でもある。おかげでプレイヤーは登場人物の姿や表情を自由に想像できるのだが、その“顔が見えない”不気味さは恐怖を引き立てていた。
文字と音、そしてシンプルな背景だけで作られているからこそ、想像力をフル稼働させられ、圧倒的な恐怖を味わえる本作。発売から30年以上経った今でも色褪せない名作だ。
■とにかく陰鬱で不気味な雰囲気の『赤川次郎 魔女たちの眠り』
最後に紹介するのは、1995年に発売された『赤川次郎 魔女たちの眠り』(パック・イン・ビデオ)だ。日本を代表するミステリー作家・赤川次郎氏の小説を原作とした作品で、閉鎖的な山奥の村を舞台に陰鬱な物語が展開される。
プレイし始めてすぐにわかることだが、本作は全体的に暗く不気味、しかも猟奇的だ。何せ、起動した瞬間に女性の悲鳴が響き、タイトル画面には木にぶら下がった死体が映し出されるのだ。油断しているとこの時点でトラウマものである。おまけに本編を始めてみれば、次々と悲惨な事件が起こっていく……。
選択肢によってがらりとストーリーが変わるマルチエンディング方式であり、何度もプレイしたくなるのが本作の魅力である。さらにいずれのエンドも救いがなく、ハッピーエンドと呼べる結末がほとんどないのもショッキングだ。
暗く不気味な雰囲気の中で血みどろの展開が繰り広げられていく本作は、思わず目を覆いたくなる一方、“怖いもの見たさ”でプレイがやめられない。陰鬱で後味が悪いホラーが好きな人には間違いなく刺さるであろう作品だ。
SFC時代のホラーゲームは、当然ながら今のゲームと比べてしまうと映像的には見劣りする部分もあるだろう。しかし、ドット絵を生かしたグラフィックや計算された演出で、怖さを見事に作り出しており、むしろ今のゲームでは味わえない「恐怖」がそこにはある。
30年近く前に生み出された名作の数々は、今から初めてプレイする人にも新鮮な恐怖を与えてくれるはずだ。


