任天堂『スーパーファミコン(SFC)』は、『ファミリーコンピュータ』からグラフィック面やサウンド面が著しく進化し、ゲームの幅を広げた名ハードとして知られる。
中でもホラーゲームは、SFC時代に大きく進化したジャンルだろう。1992年にリリースされたサウンドノベルホラー『弟切草』(チュンソフト)を皮切りに、多くのホラーゲームが誕生し、プレイヤーを恐怖させた。
SFC時代のホラーゲームは、シンプルでありながらも圧倒的な恐怖を与える作品が多く、その演出のひとつひとつが強烈に記憶に残っているという人も少なくないはず。今回は、傑作ぞろいのスーパーファミコンホラーゲームの中から、特にトラウマ級に恐ろしかったものを振り返ってみたい。
※本記事には各作品の内容を含みます
■とにかくバッドエンドが多い『晦-つきこもり』
まず紹介したいのは、『晦-つきこもり』(バンプレスト/1996年発売)だ。サウンドノベルホラーの傑作『学校であった怖い話』(バンプレスト)の続編で、祖母の七回忌で集まった親戚たちが怪談話を始めるという内容。その不穏な幕開けと田舎を舞台にした和風ホラーな雰囲気に、ぐっと惹きつけられる作品だ。
本作の語り手は、看護師、自称冒険家、テレビプロデューサー……など、実に多種多様。さらに聞く順番やプレイヤーの選択肢によって語られるシナリオが変化するため、数十通りもの怪談が楽しめる。各シナリオ自体は短いため気軽にプレイできるのも魅力で、「あとちょっとだけ……」とついどんどん進めてしまった人も多いのではないだろうか。
そして、本作が「トラウマ級」として語り継がれている最大の理由は、容赦ないバッドエンドがいくつも用意されていること。死人が出たり、プレイヤー自身が死亡したりするルートも用意されており、一度見ると忘れられないショッキングな結末が多いのだ。
単純なホラーというだけでなく、現代でいう「ヒトコワ」や「イヤミス」のような話も多く、そうした後味の悪さが心に焼きつく。下手な選択肢を選べないという緊張感に加え、それぞれが語る怪談のリアルさ……。身近な場所に潜む恐怖を描いた本作は、子どもはもちろん、大人にこそプレイしてみてほしい。
■シザーマンの恐怖が忘れられなくなる『クロックタワー』
1995年に発売された『クロックタワー』(ヒューマン)は、そのクオリティーから国内だけでなく、海外のゲームファンも魅了した作品だ。サスペンス要素を含んだホラーで、殺人犯・シザーマンのいる洋館から逃げ出すというパニックホラー的な一面もある。
本作の最大の特徴といえば、プレイヤーは主人公・ジェニファーを「操作」できないこと。カーソルでオブジェクトをクリックしたり、カーソルを移動させたりして間接的な「アシスト」しかできないのだ。さらに指示を出しても、ジェニファーは14歳の非力な少女、思った通りに動いてくれるとは限らない。そんな彼女を見守るしかできない「もどかしさ」は、本作独特の感覚だ。
さらに『クロックタワー』といえば、なんといっても「シザーマン」の存在もはずせない。巨大なハサミをジャキジャキ言わせながら追ってくる彼の姿は、まさに“恐怖”以外の何者でもない。登場すると決まって流れるBGMも不気味で、無事に逃げたり隠れたりできるまでは息もできないほどだった。
シザーマンの恐怖、ジェニファーを無事逃がせるのかというハラハラドキドキ感、謎の洋館に隠された謎……。すべての要素が見事に絡み合い、プレイ後にはまるでホラー映画を1本観たかのような満足感を味わえる作品である。


