■中沢氏が今一番推したいUMAは?

――これまで『ダンダダン』に登場した中で、お気に入りのキャラクターはいますか?

中沢:お気に入りというか「この手があったか!」と思ったのは、作中にネッシーを登場させた手法です。

 オカルトというジャンルはエンタメの側面も強く、一番人気なのは心霊や怪談。UMAの弱さは、幽霊などと比べた時に目撃情報が日常からかけ離れすぎているところにあると考えます。おもに山奥やジャングル、宇宙や深海などですからね。

 話を戻すと『ダンダダン』に登場するネッシーは湖ではなく、夜の学校に出現しました。要は「学校の怪談」とかけ合わせて登場させたワケです。それを見て「学校にネッシーを出しちゃうんだ!」とビックリしましたよ(笑)。

 自分は作家としてUMAのエンタメ性を世に広めたい人間なのですが、UMAを学校に出すという発想は盲点でしたね。もろに『シン・ゴジラ』を想起させる姿でしたが(笑)。

――他に興味深いキャラクターはいますか?

中沢:メインキャラの「シャコ星人」です。元ネタはドーバーデーモンというUMAですが、おそらく『ダンダダン』に出てくるUMAの中で、一番デザインがアレンジされているキャラだと思います。

 本来のドーバーデーモンは、グレーの体に赤い目玉があり、我々が想像する宇宙人のような見た目です。『ダンダダン』には、ほかにもモンゴリアンデスワームやネッシーなどが登場しますが、象徴的な特徴やパーツは残していることがほとんど。でもシャコ星人はかなりアレンジされているので、「ここまで変えてもいいんだ!」と思いました。

 何かのインタビューで見たのですが、龍先生はもともと都市伝説のひとつであるキャトルミューティレーション(※)を作中に登場させたかったそうです。

――牛が宇宙人に連れていかれる描写ですね。

中沢:そうです。それで「牛」「牛乳」「ジャージー牛乳」と連想し、「ジャージー」という言葉をモチーフに、ジャージー・デビルというUMAと組み合わせようとした。ただ、ジャージー・デビルは馬のような顔にコウモリのような翼があるのでイメージと少し違うということで、「ドーバーデーモンを元ネタにしよう!」という流れになったらしいのです。

※キャトルミューティレーション:英語で「家畜化された牛」を意味する「Cattle」と、「切断」を意味する「Mutilation」を組み合わせた言葉。不自然な傷を負った牛などの動物が死体で発見される事件を指す。

 ここからは僕の憶測なのですが、ジャージー・デビルは見た目的に宇宙人感がなく、一方でキャトルミューティレーションはかなりSF要素が強い。両者を並べると結構な違和感があります。

 だから元ネタを、ドーバーデーモンにしたのでは……と。龍先生はかなりのオカルトマニアだと思うので、UMAをどのようにキャスティングしていったのか全部知りたいですね。

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