■幼い子どもたちが大切な靴のために奔走した感動回
離婚後、令子は不倫相手の吉野と再婚を前提に暮らしていた。客観的に見れば早すぎるが、孤独に苛まれていた令子にとっては彼と生きることが一つの救いになっていたのだ。
だが、24話でそんな令子が急死してしまう。元々持っていた病が悪化したのだ。翌朝、子どもたちは雪子とともに東京に向かうが、五郎は一緒には来なかった。
令子のアパートでは、葬儀の準備が進められていた。純は母の死がテキパキとさばかれていく光景や吉野が自身の子に「母さんにお別れを」と促す様子を見て、言葉にできない心の痛みを抱く。純にしてみたら母の死と、母が他人の母になったことを痛感する場面であり、ダブルで辛かったことだろう。
翌朝、目を覚ますと台所に五郎がいた。だが、令子との対面もそこそこに台所へ戻ってしまい、純はそれを見て激しく落胆する。
モヤモヤしながら公園に行った子どもたちは吉野と出くわし、靴がボロボロだから葬儀のためにと新しい靴を買い与えられる。しかしその靴は麓郷に来たときに五郎が買ってくれたもの。壊れるたびに何度も縫い直してくれた愛の詰まった品だった。
翌日、そそくさと帰った五郎の悪口を皆が言い出すと、清吉が静かに麓郷の厳しい生活と五郎の苦労を語りだす。重く温かく響く清吉の言葉は、悪口を言った皆はおろか、純の心も揺さぶり、子どもたちは靴を探しに夜の街に走り出した。
だが、すでに店は閉店しており、ゴミ捨て場を見ている最中に警官に止められてしまう。純は焦りから、「父に買ってもらった靴……母の死……再婚……」と断片的な言葉しか話せなかったが、その様子から事情を悟った警官が、それ以上問い詰めることなく一緒になって靴を探してくれる。そして、その優しさに触れたとき、純の目からは理由のわからない涙がこぼれてしまうのだった。
母の死、父との思い出の靴の紛失と、大切なものを同時に失ってしまった子どもたち。だが、この経験がまた二人を強くし、五郎との信頼関係を確かなものへと変えていくのだ。
両親の離婚と森の中への引っ越し、母の再婚と死と、小学生のうちに壮絶な経験をしている純と蛍。甘えたいけど甘えられない寂しさや不安といった様々な感情の中で、懸命に生きる姿はどのシーンも涙を誘う。


