■1か月で1億再生!令和史上最大のヒット作登場!(2023年春アニメ)

 最後に選んだのは、2023年4月開始の春アニメ。かなり最近のクールからのチョイスだが、令和史上最大級のヒット作が2本、そしてその作品にも劣らない名作ぞろいのクールとなっている。

 まず、このクールの話題をかっさらったのは間違いなく、赤坂アカ氏(原案)、横槍メンゴ氏(作画)のタッグにより生まれた『【推しの子】』だった。

 キービジュアルを飾っていたメインヒロインと思われたアイドル、星野アイが1話から無残な死を遂げるという圧倒的インパクトは、今後の物語への期待、タイトルの「推しの子」の意味を視聴者にまざまざと見せつける形に。第1話から90分特別放送という異例の放送形態も話題になったが、オープニングテーマの『アイドル』(YOASOBI)は、公開わずか1か月強で1億再生を達成。物語の面でも、商業的な側面でも、まさに令和を代表する作品の1つとなったといえる。

 また、現在劇場版『無限城編 第一章 猗窩座再来』が公開中の『鬼滅の刃「刀鍛冶の里編」』もこのクールで放送。鬼殺隊の柱である甘露寺蜜璃と時透無一郎の活躍だけでなく、鬼となった炭治郎の妹・禰豆子が太陽の光を克服するなど、物語の大きな転換点となった。現在公開中の映画にかかわるエピソードも登場するため、まだ劇場版を見ていない人はぜひ視聴してもらいたい。

 また話題だったのはビッグタイトルだけではない。文明が崩壊したディストピアを描いた『天国大魔境』は、ディズニー+独占ゆえに継続的なスマッシュヒットとならなかったものの、海外のアワードにおいて数々の受賞歴もある作品。

 そのほか、恋愛アニメも豊富で『僕の心のヤバイやつ』、『山田くんとLv999の恋をする』などが放送された。中でもSNSを中心に話題となり、個人的にもおすすめしたいのが『スキップとローファー』だ。

 本作は石川県から上京してきた女子高生・岩倉美津未と、スタイル抜群のイケメン高校生・志摩聡介を中心にクラスメイト達の成長が描かれる物語。序盤でどちらかが好意を抱き、中盤以降は「もう付き合っちゃえよ」という展開になることが多いラブコメアニメだが、『スキップとローファー』では、“1話で二人が急接近!?”という展開ではない。あくまで美津未と聡介を中心にしつつ、江頭ミカ、村重結月など、クラスメイトが青春でぶつかる葛藤やモヤモヤを乗り越えた先の「成長」にフォーカスが置かれている。

 とはいえ、少しずつお互いの恋心に気づく美津未と聡介の尊さも外せない。「ラブコメは興味あるけど、コテコテなのはちょっと……」という人でもおすすめのアニメだ。


 今回振り返った4つの神クールは、あくまでほんの一例にすぎないかもしれない。放送当時の空気や、自分の人生のタイミングによっても、「神作」と感じる作品やクールは人それぞれだろう。ぜひ、自分だけの“神クール”を思い出しながら、もう一度あの頃の熱狂に浸ってみてほしい。

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