
『水色時代』『ないしょのつぼみ』など、思春期のリアルな悩みを描いた作品で少女たちの心に寄り添い続けてきたマンガ家、やぶうち優先生。2009年には第54回小学館漫画賞児童向け部門を受賞し、2020年4月にはコミックスの累計発行部数が600万部を突破した。デビューから42年、いまも『ちゃお』で『上杉くんは女の子をやめたい』を連載中だ。
今回は『ちゃおサマーフェスティバル2025』で開催されたサイン会の直後、やぶうち先生へとインタビューを実施! やぶうち先生がファンとの交流で感じたことから、作品に込める思いなど、さまざまな話を聞いた。
――本日のサイン会、お疲れ様でした。たくさんのファンの方がいらっしゃっていましたね。ファンの方と目を合わせて丁寧にお話しされているのが印象的でした。何か嬉しい言葉はありましたか?
やぶうち: そうですね。皆さんわりと前の作品も読んでくれていて。『ゲキカワ♥デビル』(※『ちゃお』2016年4月号~2019年12月号まで連載)という作品があるんですけど、それを読んでくれている子が多かったので、嬉しかったです。
―― これまでの作品の中で、特に思い入れのある作品やキャラクターを挙げるとすると、どなたになりますか?
やぶうち: どれか一つとは決められないんですけど……思い入れが強い作品で言えば、『ドーリィ♪カノン』ですね。連載期間も長くて、いろいろなメディア化もしていたので。曲も作ったりして、すごく主人公とシンクロしたという意味でも、密度の濃い作品でした。
―― 主人公とシンクロしたというのは、気持ちの面で、ということでしょうか。
やぶうち: そうですね。作詞作曲をする主人公だったんですけど、作中の歌詞を私が作ったりしたんですね。作品とリンクするような詞だったせいか、無意識に私と主人公の髪型が似てしまって(笑)。
キャラクターを描いてから自分が寄るのか、あるいはその逆なのか分からないんですけど……。違うつもりで書いているのに似てしまうという意味で、当時は『ドーリィ♪カノン』のヒロインと本当にシンクロしていました。