■「ジャンルで言うと、自分の作品は亜流というか邪道な部類に入るのかなと」

―― 『ないしょのつぼみ』では性教育が取り上げられていたり、現在連載中の『上杉くんは女の子をやめたい』ではひょんなことから体が女の子になってしまった少年が主人公だったりと、一般的な少女マンガの枠から飛び出しているけれど、読者には絶対に刺さる話題が描かれていると感じます。そういった物語のインスピレーションはどこから湧いてくるのでしょうか。

やぶうち: もともとデビュー前から、こういう主人公が男でもない、女でもない、みたいな作品ばっかり描いていたんですね。そういう意味で、逆に王道の少女マンガは、描くのも読むのも今イチなんです。ジャンルで言うと、自分の作品は亜流というか邪道な部類に入るのかなと。そして自分の中に眠っていたものが、今『上杉くん』でまた戻ってきて、描きたいものを自由に書いている感じです。

―― 長年活躍される中で、絵柄やキャラクター造形も時代に合わせて変化しているように感じます。これは意識的にされているのでしょうか。

やぶうち: 無意識です。

―― では、普段の生活の中で自然に感じ取って、ということですか。

やぶうち: 「こういうのいいな」って思ったらすぐ影響を受けちゃうみたいで。

―― 最近、やぶうち先生ご自身の作風にかかわらずとも、「いいな」と思ったものはありますか?

やぶうち: 最近でいうと、娘が好きな「V.W.P.」というグループ(※5人のバーチャルシンガーによるアーティストグループ)ですね。周りの方からのインスピレーションみたいなものもけっこう作品に反映されていると思います。

  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4
  5. 5