
倉本聰さん脚本による名作テレビドラマシリーズ『北の国から』(フジテレビ系)が、8月11日より再放送されることが発表され、話題を集めている。
『北の国から』はテレビシリーズから始まり、スペシャル『’83冬』『’84夏』『’87初恋』『’89帰郷』『’92巣立ち(前後編)』『’95秘密』『’98時代(前後編)』『2002遺言(前後編)』と放送されてきた。今回の再放送は、1981年~1982年に放送された連続テレビドラマ版の全24話が対象となる。
再放送が行われるのはフジテレビ系関東ローカルの平日午後に放送される「ハッピーアワー」枠。往年の名作が44年の時を経て蘇るとあって、SNSにはファンから「大切なことがたくさん詰まったドラマがまた見られて嬉しい」「一度見始めたら止まらない名作が再放送!」「放送日が待ちきれない」といった喜びの声が多数上がった。
また、中には「田中邦衛さんや地井武男さん、いしだあゆみさん、大滝秀治さんたちにまた会える」という、故人となった名優を偲ぶ声もあがっていた。さらに「爽やかな家族愛ではなく、ドロドロした人間模様もあって深い作品だ」といったストーリーへの高い評価をあげるコメントも多い。
だが、今回の再放送は関東ローカルでのもの。それ以外の地域から「地方でもやってほしい」「全国で再放送してほしい」と、名作ゆえに全国区での放送を期待する声も目立った。
実は筆者も『北の国から』の大ファンであり、今回の再放送を喜ぶ一人だ。これだけ多くの人に愛される本作の魅力はどこにあるのか、ここで少し振り返ってみたい。
※本記事は作品の内容を含みます。
■北海道の雄大な自然の中で懸命に生きる家族の物語
『北の国から』は、別居を機に東京から故郷である北海道の富良野に移り住んだ黒板五郎(田中邦衛さん)と2人の子どもの成長を描いたヒューマンドラマだ。そこに雄大な大自然の風景とさだまさしさんの歌うテーマ曲『北の国から〜遥かなる大地より〜』が美しいハーモニーを奏で、黒板家に関わる人々が織りなす繊細な人間模様が見る人の涙を誘う。
初めて富良野にきた小学生の息子・純(吉岡秀隆さん)と娘・(中嶋朋子さん)が見たのは、朽ち果てかけたボロ小屋。娯楽がないどころか、水も電気もないという究極の自給自足生活が始まる。都会生まれの子どもたちは戸惑い、特に純は拒絶反応を示すが、五郎も五郎で飛びぬけて不器用な性格ゆえフォローをすることもない。
「夜になったらどうするの!」「夜になったら寝るんです」、当たり前だけど都会では当たり前ではなかったそんな会話を親子で交わしながら、子どもたちは少しずつ、大自然の中で成長していく。
黒板家をはじめ登場人物はみな完璧ではなく、それぞれが不器用でちょっとダメなところがあり良くも悪くも人間味に溢れている。そんな人々が葛藤や迷いを抱え、時には壁にぶつかり失敗をしながらも一生懸命に生きる姿が我々の目を惹きつけてやまない。