■『MOTHER2』 スーパースターマンの「おうじゃのつるぎ」
同じくドロップ率が低い存在が『MOTHER2』のスーパースターマンである。終盤に訪れるストーンヘンジ洞窟でのみ出現する敵で、「おうじゃのつるぎ」をごくごくまれに落とす。
「おうじゃのつるぎ」は、プー専用の最強武器。装備できるアイテムが極端に少ないプーにとっては、唯一無二の最強装備とも言える。
このゲームでは敵シンボルがフィールドに表示される「シンボルエンカウント方式」が採用されており、同じ敵と何度も戦うには出現位置を特定し、何度もフィールドを出入りしてエンカウントを繰り返す必要があった。さらに厄介なことに、スーパースターマンはストーリー進行によって出現しなくなる期間限定の敵でもある。
そのため、出現条件、戦闘のしづらさ、落としづらさ、すべてにおいてプレイヤーの忍耐力が試された。当時「おうじゃのつるぎ」を手に入れた者は、友人に「見せびらかす」ことで大きな優越感を得られるほど、レア度の高いアイテムであった。
■『ファイナルファンタジーII』 テツキョジンの「エクスカリバー」
「エクスカリバー」といえば、『FF』ファンなら誰しもが知る伝説・最強級の剣だが、『FF2』におけるこの武器の入手方法は特に厳しかった。
ドロップするのは、最終ダンジョン・パンデモニウムにごく低確率で出現する「テツキョジン」という敵。能力自体はそこまで高くないが、それ以前に「遭遇すらできない」という壁が存在する。遭遇率が極めて低いため、ダンジョンを何度もうろつく必要があった。
さらに厳しいのは、テツキョジンが落とす装備が「エクスカリバー」だけではないという点。「イージスの盾」「源氏シリーズ」などの強力装備もドロップ対象となっているため、目的のアイテムを引き当てるには途方もない労力が必要だった。
そもそも「テツキョジンに一度も出会わないままクリアした」というプレイヤーも少なくなかったはず。その存在が都市伝説と化すほどに希少な敵であり、だからこそ「エクスカリバー」の価値が際立っていたとも言える。
これらの強敵たちが登場した時代は、まだインターネットも普及しておらず、攻略情報は友人との会話や雑誌の情報に頼るしかなかった。「あれは本当に落ちるのか?」「それはガセだ」という噂が飛び交うなか、確信もないまま延々と敵を狩り続けた記憶があるプレイヤーも多いはずだ。
だからこそ、激レアドロップを目にしたときの感動は、何物にも代えがたい体験。今なお語り継がれるこれらの強敵は、RPGにおける「確率」と「根気」の勝負対象であり、ゲーム体験に深みを与えてくれる重要な存在であった。


