■元祖『ドンキーコング』のステージと世界観を受け継ぎつつ、新章スタート
“ドンキーコング”は、今なお人気のIPです。ただ、イギリスのレア社が開発したスーパーファミコンの『スーパードンキーコング』が出てからというもの、ドンキーコングといったらジャングルの人気者的な、あのイメージですよね。
でも、アーケード版が好きだった私にとって、ドンキーコングは摩天楼へやってきた暴れん坊的なイメージなんです。またいつ大都会へやって来るのか……と待っていますが、全然ジャングルから出てこない(笑)。『スーパードンキーコング』は、海外では『ドンキーコングカントリー』というタイトルで発売されたと思うんですけど、まさに“ドンキーコングの地元”にいる感じ。たしか主人公も、アーケード版に登場するドンキーコングとは違うんですよね(※「初代の孫」という設定)。
その一方で、ゲームボーイ版『ドンキーコング』は、元祖『ドンキーコング』の世界観を踏襲しています。序章からスタートするんですが、もうオリジナルの『ドンキーコング』そのもの。地上から建設中のビルを登り、屋上でドンキーコングにさらわれた美女を助ける1面〜4面までが再現されます。それでクリアしたかと思ったら、ドンキーコングが美女を取り返して市街地へ逃げ込み、まったく新しい本編がはじまるんです。
その本編は1ステージが8面で構成された、パズル要素のあるアクションゲーム。鍵を取って、扉を開けたら次の面に進めるのですが、アクションのテクニックだけでなく、手順を考える必要もある。アクションも逆立ちや宙返りなど、オリジナル版にはないアクロバティックな動きが採り入れられていました。
私は当時、ゲームボーイで『ドンキーコング』が出るというのですぐに飛びつきました。結局難しくて、途中から進めなくなってしまいましたが、大好きでしたね。
ゲームボーイ版『ドンキーコング』がどれくらい好きかというと、このソフトを何本も持っているほど。家に何本あるかもわかりません(笑)。箱も取説もない、カートリッジだけの状態だと500円で売っていたりしていたので、見かけるとつい買っちゃってたんですよね。
ただ、安く売られている好きなタイトルを買い続ける人ってけっこういて、世の中には同じタイトルだけ集めているコレクターもいっぱいいます。ダンボール箱を開けたら同じ物がズラッと並んでいる、みたいな(笑)。パッケージなどのバージョン違いを探すために集めているって人もいれば、やっぱり「見かけたら買ってしまう」なんて人もいるんです(笑)。
さて、ドンキーコングのシリーズは、近年のタイトルでも『スーパードンキーコング』の世界観を受け継いだままのようですね。先日、ニンテンドースイッチ2用にシリーズ新作『ドンキーコング バナンザ』が出ましたが、こちらの世界観はどうなんでしょう? やっぱりジャングルの人気者なのかな。
※ソフトの値段や状態などは取材時のものです。
【プロフィール】
大竹剛(おおたけ・つよし)
「レトロゲーム」に造詣が深い“元ドット絵職人”。ゲームメーカー「テクノスジャパン」で、主に『くにおくん』シリーズにドッターとして参加。現在は「ハードオフTOKYOラボ吉祥寺店」で店長を務める。本人もレトロなゲームのコレクター。