■青春と感情が暴走するヒロイン『バタアシ金魚』高岡早紀
望月峯太郎(現:望月ミネタロウ)さんによる漫画を原作とした1990年公開の映画『バタアシ金魚』。思春期の葛藤と暴走をコミカルかつ切なく描いた名作である。
そんな本作で高岡早紀さんが演じたのが、ヒロインのソノコだ。
物語は、水泳部のソノコにカオル(筒井道隆さん)が一目惚れするところから始まる。映画公開時、高岡さんは17歳。透明感にあふれた水色の水着姿の可憐な少女に、カオルが心を奪われるのも無理はない。高岡さんのソノコにはそう思わせる説得力があった。
そんなソノコにアプローチするカオルは、いわば“変人”だ。彼女に近づきたい一心で水泳部に入部した彼は、付き合ってもいないのにバイクで家まで迎えに来たり、ソノコが帰宅すれば、ソノコの母親と勝手に夕食を囲んでいたりと、やることなすこと全て自己中心的で押しが強い。
かと思えば、ろくに泳げもしないのに「オリンピックを目指す」と言い出し猛特訓を始めたりもする。そんな一方的なカオルのアプローチに、ソノコは次第に心のバランスを崩していくのだ。
そして迎えるクライマックス。ソノコは掃除用のデッキブラシでいきなりカオルを殴りつける。誰もいないプールで突き飛ばし合いながら、痛々しくもそれぞれの想いをぶつけ合う2人。その姿は、作中の言葉を借りれば「イカれた」青春そのものだった。
映画やドラマに登場した「水泳部女子のヒロイン」たち。どの作品も学校が舞台ということもあり、それぞれが恋愛や友情、夢に一生懸命で、葛藤や成長の瞬間までもが丁寧に描かれていた。
演じた女優たちの水着姿の美しさはもちろん、彼女たちがフレッシュな輝きを放つこれらの作品たちは、かつての青春を思い出させてくれる名作ばかりだ。
まさに熱いこの季節にぴったりの記憶に残るヒロインたち。ぜひ、この夏に見返してみてはいかがだろうか。