■赤い彗星が再び動く日は来るのか

 最終話でシャリア・ブルに危険性を指摘され、あわや排除されそうになった「シャア・アズナブル」。しかし、シャロンの薔薇は“向こう側”へと消え、シャアは最後まで生き延びた。

 シャリアから今後どうするかを問われたとき、シャアは「貴様に殺されずに済むような人生を探してみるか」と答えた。そして最終話のラストで、彼が地球にいるララァに会いにいった場面が描かれている。

 シャアが迎えに来るのをずっと待ち続けていたララァは、涙を浮かべて笑みを見せた。彼女にとって最高のハッピーエンドといえるだろう。

 しかしシャア・アズナブルという男は、ひとりの女性と平穏な生活をいつまで続けられるのだろうか。最終決戦でシャアと対峙したシャリアは、ジオンの後継としてシャア(キャスバル・レム・ダイクン)ではなく、妹のアルテイシアを擁立することを選択した。

 その理由についてシャリアは「私には分かる。貴方(シャア)がジオンを率いるのは危険だ」「いつかキシリア様のように地球に住む人類の粛清にたどりつく」と、まるでシャアの未来を見てきたかのような発言をしていた。

 もちろん『ジークアクス』以外のガンダム作品でのシャアの行いを観てきた視聴者なら、シャアがどのような人物かよくご存知のはずだ。

 また、ジオンのトップに立つことになったのがシャアの妹「アルテイシア」だ。ランバ・ラルを従えて総帥府に入っていく彼女の顔は、どことなく物憂げな表情にも見えた。

 正史のアルテイシア(セイラ)は血筋が確かで優秀な人物ではあるが、国を統べることにまったく興味がなく、投資家をしながら孤児を支援する慈善活動などを行っていた。

 それに彼女の周りを固めるランバ・ラルやシャリアは戦場では頼もしい軍人だが、政治の舞台ではどうだろうか。狡猾なキシリア派の忠臣「マ・クベ」などもいるので不安材料は多い。

 万が一、ジオンの分裂という事態になれば、その好機を連邦が見逃すはずもなく、アルテイシアに危機が訪れたら、兄のシャアが黙って見ているだろうか。


 このように今後の不安要素を挙げだすとキリがないが、こうした想像の余地を与えてくれるのも『ジークアクス』という作品の魅力だろう。感動的な最終回を迎えた『ジークアクス』だが、もし続編が作られるとしたら、皆さんはどのような展開を期待するだろうか。

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