原作派は知らない!?『SLAM DUNK』劇場版4作で描かれた「知られざるエピソード」リバウンド王・桜木の始まり、木暮のスタメン出場、流川の感動エピソードも…の画像
『SLAM DUNK』Blu-ray Collection VOL.1(TOEI COMPANY,LTD.(TOE)(D)) ©井上雄彦・アイティープランニング・東映アニメーション

 2022年に公開され、国内外で大ヒットを記録した『THE FIRST SLAM DUNK』。宮城リョータが主人公に据えられ、原作には描かれなかった“家族との物語”がアニメオリジナルで加えられたことでも話題を呼んだ。

 だが実は、それよりもずっと前、1990年代に公開された劇場版『スラムダンク』全4作にも、原作には登場しないオリジナルエピソードが数多く盛り込まれていたことをご存じだろうか。

 空白期間の練習試合、知られざるライバルたちとの激突、キャラクターたちの葛藤と成長。本編では描かれなかった「もうひとつのスラムダンク」が、そこにはあった。

 

※本記事には各作品の内容を含みます

 

■第1作『スラムダンク』因縁が交差する“もうひとつの練習試合”

 1994年3月に公開された劇場版第1作『スラムダンク』。原作で描かれた湘北の練習試合といえば、序盤の陵南戦のみだが、本作ではその直後におこなわれていた“もうひとつの練習試合”が描かれている。

 対戦相手は、県内ベスト8の常連校・武園学園高校。注目すべきは、原作第1話1コマ目「あたしバスケット部の小田君が好きなの」と、桜木花道を振った島村葉子が通う学校で、その“小田君”こと小田竜政が1年生センターとして出場する点だ。

 小田は桜木と同じ和光中出身。かつてケンカに明け暮れていた桜木を知る彼は、高校で突如バスケをはじめた桜木に対し「バスケをなめるなよ」と、敵意をあらわにする。桜木も小田の胸ぐらを掴むなど、試合前から一触即発の空気が漂う。

 時系列的にも、本作の桜木はバスケを始めてまだ1カ月足らず。素人同然のプレイで観客の失笑を買うが、赤木晴子の声援を受けてルーズボールに飛び込むなど、がむしゃらなプレイで必死に食らいつく。

 そんな桜木に対し、小田は「みっともなくてギャグにもならないぜ」と挑発するが「小田! 悪いがオレの相手はお前じゃない オレの相手はバスケットだ」と、意に介さない桜木の様子が“まさにスポーツマン”で非常にカッコ良いのだ。

 なお、この武園学園はインターハイ神奈川県予選、海南大附属と同ブロックに入っていることが、原作のトーナメント表でも確認できる。そして、レギュラー放送のアニメ本編では「海南VS武園戦」も描かれたが、エース小田の故障もあって、武園は海南に大敗を喫していた。

■第2作『スラムダンク 全国制覇だ!桜木花道』IH予選ベスト16の戦いが明らかに

 1994年7月公開の劇場版第2作『スラムダンク 全国制覇だ!桜木花道』では、漫画第79話「天才の憂鬱」にてダイジェストで語られた、インターハイ神奈川県予選4回戦「湘北VS津久武戦」が、アニメオリジナルとして詳細に描かれた。

 津久武高校は、安西先生の教え子・川崎一美が監督を務める古豪だ。選手と一緒にロードワークにも励む若きイケメン指導者のもとには、赤木と木暮の中学時代のチームメイト・伍代友和や、1年生ながらスタメンを務める“メッシュ猿”こと南郷洸一郎など、クセ者揃いの選手が集う。

 そんななか、本作でひときわ目立ったのが桜木のリバウンドでの奮闘だ。作中繰り返す「ゴール下はオレが制す!」のセリフ通り、本試合22本のリバウンドを奪取し、県大会タイ記録を達成。

 23本目の新記録と思われたリバウンドは、惜しくもファウルがコールされそのまま桜木は退場。新記録達成とはならなかったものの、のちに「リバウンド王」として湘北を支える桜木の片鱗が垣間見える。まさに成長のエピソードとなっている。

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