■ガッシャにギガン…初代『ガンダム』未登場の機体たち
その他にもトミノメモには初代『ガンダム』には登場しないMSがいくつも登場する。トミノメモの第41話には、キシリア配下の「勇将ダル」という謎の人物が乗るMSとして「ガッシャ」が登場。「山越えハンマー」という武装を持ち、隕石の影からアムロやセイラに攻撃を仕掛けるという描写が書かれていた。
「勇将」らしからぬ攻撃手段にも思えるが、この段階のアムロはそれほどまでに手強い存在だったのかもしれない。
このガッシャは「MSV」の続編にあたる企画「機動戦士ガンダムモビルスーツバリエーション-X(MS-X)」にてデザインが描き起こされた。宇宙空間で戦える汎用性を持ちながら、水陸両用機の格闘戦能力を取り入れたズゴックのような見た目の機体となっている。
またトミノメモの最終話には、「ギガン」という機体も登場。モビルスーツと地上砲塔の特徴を併せ持つ機体のようで、ジオンの要塞「ア・バオア・クー」の最終防衛網として配備されていた。
なおトミノメモにてガンダムを大破させるのは、このギガンである。アニメでのジオングと同じ役回りを担う予定だった機体といえるだろう。
ギガンも「MS-X」にて再設定されてメカデザインも描き起こされたが、こちらは支援用の簡易MSとなっている。このギガンには脚部がなく、3輪走行をする移動砲台のような見た目。お世辞にもトミノメモに書かれていたようなガンダムと相討ちになる重要機体には見えない。
ちなみに時を経て、数々の歴戦のMSが登場するOVA『機動戦士ガンダムUC』にギガンは登場。脚部に宇宙用ブースターを換装され、ビーム・ガトリング・ガンを乱射している姿が印象的だった。
今回は初代『ガンダム』ファンのあいだで語り草になっている「トミノメモ」に書かれた幻の機体たちを振り返ってみた。最新作『ジークアクス』を観て、これらの機体名を耳にしたことに懐かしさを覚えたファンもいるのではないだろうか。