■ゲーム中に強制終了…難敵だった母親とネコ
ファミコン時代の天敵といえば、敵キャラだけでなく、強制終了をやらかしてくる母親とネコだった……という人も多いだろう。
母親の掃除機でアダプタが抜かれることもあれば、コードに引っかかって電源が切れてしまったことも珍しくない。『ドラクエ3』に至っては「冒険の書」が消えてしまう絶望のハプニングにつながり、茫然自失となった人も少なくないはずだ。
思わず「あー!」と、声にならない悲鳴をあげてしまうが、母親と口ゲンカとなっても勝てるわけがない。そのため、コンセントに背もたれをし、アダプタやコードを守る作戦に出たこともあった。
それから、ネコである。彼らは飼い主たちがリセットボタンを押しているのを横目で見ているのか、トコトコと歩いてきてはリセットボタンをポチッと押してしまう。現在のYouTubeで公開されたら「可愛い」「賢い」などと言われそうだが、当時はまったく可愛くなかった。そのうえ、ぴょんと飛び跳ねて本体に接触し、フリーズしまうことも……。
ネコ対策として、本体のサイズに合わせて段ボールをかぶせたり、これまた『ジャンプ』で壁を作ったりしたが、むしろ喜んでその上に飛び乗ってしまうのでまったく効果がなかった。
また、当時はHDMIケーブルはおろか、AV端子すらなく、RFスイッチでテレビに接続していた。そのため、映りが非常に安定せず、ちらつきやノイズが発生するのが当たり前。ただ、本体を動かしたり、わざと斜めに置いたりすることで改善する場合も少なくなかった。キレイな画面を目指して、自分なりにいろいろ試していたプレイヤーもいたのではないだろうか。あれこれ本体を動かしているうち、フリーズしてしまった、ということももちろんあったが……。
『ファミコン』本体にまつわるたくさんの問題を、当時の子どもたちはどうにか工夫して乗り越えてきた。そういえば、あの頃は多くの家庭でテレビが1台しかなく、ビデオデッキもまだ買えなかったため、家族でチャンネルの奪い合いになったこともあった。
そう考えると、『Nintendo Switch』なんて、まさに未来のゲーム機だ。あんなに小さくて持ち運べるうえ、ある程度の衝撃にも耐えられる。『ファミコン』の懐かしい思い出は何ものにも代えがたいが、その反面、今の子どもたちを少し羨ましく思ってしまう。