
2025年6月5日に発売された、任天堂の新ゲーム機『Nintendo Switch 2』。発売からわずか4日間で世界販売台数が350万台を突破しており、任天堂のゲーム専用機の過去最高販売台数となっている。
ゲームメーカーのトップとして君臨する任天堂だが、その原点は1983年7月に発売された『ファミリーコンピュータ』の大ヒットだろう。この『ファミコン』は世代を超えて愛されており、筆者も少年時代に夢中になって遊んでいた。
ただ、当時遊んでいた人であれば誰もが知っているだろうが、『ファミコン』の本体は衝撃に弱かったり不安定だったりする面があり、それにまつわる苦労も多くあった。なんとかプレイを続けたいがために、いろいろと工夫をしてみたのは筆者だけではないだろう。
そこで、当時の子どもたちが苦労を重ねて工夫した「ファミコンのあるある」を懐かしく振り返っていこう。
■画面が綺麗に映らない! カセットの端子に息を吹きかけ、少し浮かせて差し込んだ
『ファミコン』は本体のカードリッジとカセットの端子の接触が噛み合わないと反応が悪く、テレビ画面に綺麗に映らないことが多かった。しかも、ゲーム中にフリーズすることもあったため、どうにかしようと工夫を重ねたものだ。
そこでやったのが、端子に息を吹きかける方法である。どこで覚えたのかは分からないが、原因が「ほこり」だと思い込んでいたため、それを息で吹き飛ばそうというわけだ。おそらく、『ファミコン』プレイヤーなら、誰もが一度はやったことがあるだろう。
意外にもそれで解決することもあり、筆者も唾液が飛ぼうと気にせず「フーフー」と大きく吹きかけたり、「フッ」と軽く吹いたりといろいろ試していた。
また、それと一緒によくやっていた技が、カセットを少しだけ浮かせて差し込む方法だ。「斜め差し」と言われることもあるようだが、要はカセットを最後まで押し込まず、途中で止める状態にするのだ。
奥までしっかり差し込まないことでゲームが起動することもあったが、それでも画面が映らない場合もあり、やはり原因の根本的な解決には至らない方法だった。
だが、たまたま成功したことによって、妙に勝ち誇った気持ちになったことも覚えている。そのころ、友人も同じように息を吹きかけながらそっと浮かせてカセットを差し込んでいるのを目撃し、「俺のほうがうまくできる」などと、間違った論争を繰り広げていたものだ。
■振動を抑えるため? 『ジャンプ』の上に乗せて衝撃緩和
『ファミコン』はデリケートで、衝撃や振動に非常に弱い。カセットに手がぶつかるなんてのはご法度。本体を動かしただけでも、ゲームがフリーズしてしまうこともままあった。
筆者はテーブルや床などに直接置いてしまうと衝撃を拾いやすい気がして、なにかクッション性のあるアイテムを『ファミコン』の下によく敷いていた。
そこでよく使っていたのが、当時、『ファミコン』とともに爆発的にヒットしていた『週刊少年ジャンプ』(集英社)だ。『ジャンプ』を置いてその上に『ファミコン』をセットしてみると、これがピタリとはまる。「俺って天才?」と悦に入っていたものだ。
ちなみに調べてみたところ、『ファミコン』は幅が15cm、奥行きが22cm。それに対し、B5サイズの『ジャンプ』は18cm×25.7cmと、確かにだいたい一緒の大きさだ。効果があったのかは分からないが、たまに2段に重ねたりもした。もはや自己満足の世界である。
その当時、兄と一緒に『ジャンプ』は毎週買っていたが、溜まってきたら「ちり紙交換」でトイレットペーパーと交換させられていた。だが、『ファミコン』の下敷きとして使っていた『ジャンプ』だけは捨てずにいたため、ふと気づいたら1年以上前のものだったことも珍しくなかった。
ふいに懐かしくなって『ファミコン』そっちのけで『ジャンプ』を読み返し、続きがまた読みたくなり書店にコミックを立ち読みしに行く……ということもあった。それもまた、ファミコン時代の「あるある」かもしれない。