■「不可能を可能にする男」が主人公機でも輝く
テレビアニメ『機動戦士ガンダムSEED』シリーズに登場する「ムウ・ラ・フラガ」は、「エンデュミオンの鷹」の異名をもつ地球連合軍のパイロットだ。
『SEED』の終盤で主人公のキラ・ヤマトが「フリーダムガンダム」に乗り換えたため、それまでの主人公機である「ストライクガンダム」にムウが搭乗した。
特に印象的だったのはHDリマスター版で、ムウが初めての実戦で使用した「パーフェクトストライク」形態。本来ストライクは3つの形態を戦況に応じて使い分けるが、3つの機能を試験的に合体させた「マルチプルアサルトストライカー」を装備した形態で出撃する。
ガンプラの『HG 1/144 パーフェクトストライクガンダム』の解説書によれば、この装備自体は以前から存在していたが、「武器が増えても効率的な運用は難しい」というキラの判断により使用されなかったとのこと。
しかしムウは、このパーフェクトストライクで多数のストライクダガーを撃墜し、カラミティガンダムとも互角に渡り合った。ナチュラルでありながら、コーディネイターとも戦える規格外の技量を誇るムウ。さすがは「不可能を可能にする男」を自称するだけのことはある。
■才色兼備のヒロインが主人公機を乗りこなす
テレビアニメ『機動武闘伝Gガンダム』に登場するレイン・ミカムラは、主人公のドモン・カッシュを献身的にサポートするクルー。本業は医者ながら、父である「ミカムラ博士」の教えを受けて、メカの整備にも精通していた。
そんなレインは第13話で、ドモン不在時に主人公機である「シャイニングガンダム」に搭乗し、「デスアーミー」を撃破。その後に「マスターガンダム」の襲撃を受けるが、合流したドモンと一緒に必殺技の「シャイニング・フィンガー」を放ち、マスターガンダムを退けた。
なお、シャイニングガンダムはモビルファイターと呼ばれ、「モビルトレースシステム」という独特の操縦システムを採用している。搭乗者は特殊なファイティングスーツを着用し、パイロットの動きをトレースして機体を動かすのだ。
このモビルトレースシステムを動かすための特殊スーツは、ドモンのように鍛え上げた格闘家でも着用時に苦しむ描写があり、子どもが着用した時は「身体がバラバラになる」と言われたほど。
それなのにレインはシャイニングガンダム搭乗時、「き、きつい……」と漏らしただけで適応してみせた。優れた医学知識とメカニックとしての技量を持つだけでなく、常人離れした肉体まで有するレインは、ガンダム作品のヒロインの中でも規格外の存在なのかもしれない。
今回は『ガンダム』シリーズにおける、主人公機を他のパイロットが操縦した印象深い場面について振り返ってみた。このほかにも『機動戦士Zガンダム』で初期の主人公機「ガンダムMkーII」にエマ・シーンが搭乗したり、『機動戦士ガンダムZZ』ではかつての主人公機である「Zガンダム」にジュドー・アーシタやルー・ルカが搭乗したりする場面もあった。
皆さんの記憶に残る、主人公機に別のパイロットが搭乗したシチュエーションはどれだろうか。