■同じ過ちを犯した? 長兄の油断と甘さ

 『ジークアクス』におけるソーラ・レイ「イオマグヌッソ」の完成式典に出席するため、5年振りにキシリアと直接相まみえたギレン。キシリア派を警戒してのことか、多数のモビルアーマー「ビグ・ザム」を配備していた。

 そこまで警戒しながら、ギレンは揮発性の毒であっさりと暗殺されてしまう。だが初代『ガンダム』でも、ギレンは政敵であるはずの妹キシリアに対して警戒心が薄いように思えた。

 キシリアから父殺しの罪を問われて背後から銃を突きつけられながら、ギレンは「ふん、冗談はよせ」と本気と受け取っていなかった節が見られた。その結果撃ち殺され、キシリアに「意外と兄上も甘いようで」といわれている。

 そして『ジークアクス』の世界でも、キシリアはギレンの甘さを指摘。やすやすと暗殺を許したのもそうだが、事前準備の段階からキシリアとギレンのあいだで大きな意識の差が感じられた。

 ビグ・ザムの数を増やすだけで安心していたギレンに対し、キシリアは対ビグ・ザム戦を想定したかのような武装を持つモビルスーツを準備。実際キシリア直属のギャンの部隊は、ビグ・ザムの誇る強固なIフィールドバリアを貫き、撃破することに成功している。

 一方ギレンの護衛部隊はキシリア派のクーデターを想定していなかったのか、反応に遅れがあったのが対照的だった。


 初代『機動戦士ガンダム』とは大きく歴史が変わったはずの『ジークアクス』だが、ザビ家の面々は「血の呪縛」とでもいうべきか、初代『ガンダム』とあまり変わらない悲劇を繰り返している。

 また6月12日、『ジークアクス』の公式Xにて、第11話の一場面と思われる「シャアの軍服」らしき画像がポストされた。初代『機動戦士ガンダム』では、シャアに殺害されたキシリア。『ジークアクス』では彼女にどのような運命が待ち受けているのか、最後まで目が離せない展開が続きそうだ。

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