■少女ギャグ漫画界のレジェンドが描いた『ばなな姫お成り!』
1992年~1995年に連載された『ばなな姫お成り!』は、赤座ひではるさんによる江戸時代を舞台にしたギャグ漫画である。わがままでおてんばなばなな姫が城を飛び出し、小姓とともにハチャメチャな展開を巻き起こしていく物語だ。
赤座さんの可愛らしい画風は幼い子どもにも認識しやすく、どのキャラクターが敵か味方かも分かりやすかった。幼い頃の筆者は、赤座さんの作品で初めてギャグ漫画の面白さに触れ、その魅力を知った。
本作以外にも『ブギウギようち園』や『どれみふぁドレミ』など、多くのギャグ漫画を少女漫画誌で連載している赤座さんは、いわば少女ギャグ漫画界のレジェンドともいえる存在である。現在も読み切り漫画などを執筆中のほか、専門学校の漫画科講師として活躍中だ。
■30周年を迎えた異色の学園ギャグ漫画『HIGH SCORE』
1995年より連載が開始された津山ちなみさんの『HIGH SCORE』は、彼女のデビュー作でありながら現在も連載が続く人気作だ。
本作の主人公は、絶世の美少女だがわがままで遊び好きで性格に難ありの藤原愛実(通称めぐみ)。彼女を中心に、常識を超えた個性豊かなキャラクターたちが繰り広げる学園4コマ漫画である。
最近だとSNSをテーマにした話や推し活で話題のアクリルスタンドなど、その時々のトレンドを取り入れた内容も満載で、時代を超えて楽しめる作品だ。
単行本は現在23巻まで販売されており、今年の『りぼん』4月特大号にて連載30周年を迎えた。同誌では最長の連載作品を誇り、少女ギャグ漫画界全体で見ても異例のロングランを続けている。これからも、読者に喜びと笑いを届け続けてほしい。
■ぶっ飛んだ設定が魅力! スクールギャグ漫画『めだかの学校』
1996年〜2005年に連載された『めだかの学校』は、森ゆきえさんによるスクールギャグ漫画である。
イラストだけを見ると一見普通の少女漫画に見えるのだが、その設定がすごい。本作は私立たなか中学校に転校してきた主人公・めだがを中心に、頭だけ魚の田中先生や犬のポチくん、5歳の幼児ミサちゃんなど奇想天外なキャラクターが登場し、それぞれがやりたい放題である。
読者からは「何も考えずにスッと笑わせてくれる」といった意見も多く、連載終了から20年が経過した今も古さは感じない。
ちなみに作者の森さんは現在も朝日小学生新聞で連載を開始しているほか、『めだかの学校』の10年後を描いた『めだかの学校10年後!』も『Kindle』で無料配信されている。ユニークな世界観は健在なので、こちらもぜひチェックしてほしい。
ドキドキした恋愛漫画が多かった90年代の『りぼん』。そのような作品のなか、ギャグ漫画はまた異なる楽しみを読者に与えてくれた。
現在の『りぼん』でも、前述した『HIGH SCORE』や、前川涼さんの『アニマル横町』といったギャグ漫画が連載中だ。令和の少女ギャグ漫画作品はどのようなものか、この機会に読んでみるのも面白いだろう。