
今年で創刊70周年を迎える少女向け漫画雑誌『りぼん』(集英社)。現在も多くの少女たちを夢中にさせている本誌だが、なかでも「りぼん黄金期」と呼ばれた90年代は凄まじい人気を誇っていた。
たとえば、矢沢あいさんの『天使なんかじゃない』や、吉住渉さんの『ママレード・ボーイ』など、少女漫画史に残るポップでおしゃれな恋愛ストーリーが生み出されたのもこの時期である。
一方、本誌では当時からギャグ漫画も多く連載されていた。もはや伝説化しているのが、さくらももこさんの『ちびまる子ちゃん』や、岡田あーみんさんの『お父さんは心配症』といった作品だろう。だが、それ以外にもコミックス10巻を超える作品は多く存在している。
今回は、90年代の少女たちに笑いを届けた『りぼん』の珠玉の人気ギャグ漫画を紹介したい。
※本記事には各作品の内容を含みます
■ドリフのコントも彷彿とさせる!? 女子高生とワイルド祖母のギャグ漫画『まゆみ!』
『まゆみ!』は1990〜2003年に連載された、田辺真由美さんによる4コマギャグ漫画だ。女子高生・まゆみと個性的な祖母・マツ(通称:ボーバー)を中心に、ドタバタな日常が描かれている。
まゆみのビジュアルは王道の少女漫画を彷彿とさせるキラキラなビジュアルなのだが、ボーバーはパンチパーマにしわだらけの顔。まるでメンズ大衆コミックに登場するキャラのようで、その描画の落差がすごい。
ボーバーが入浴するシーンでは、長くなった乳房を首にまいて“マフラー”にするなど、昔、志村けんさんがやっていたドリフのコントのような展開もあって誰が読んでも笑ってしまう。
ちなみに現在は『Cookie』(集英社)にて、主人公のまゆみ自身がバツイチの漫画家となって再婚を目指す『まゆみ!!2025〜再婚〜』が連載中である。相変わらずギャグが目白押しの本作も大変面白いので、ぜひチェックしてほしい。
■わずか14歳の作者が描いた共感満載のギャグ『へそで茶をわかす』
1992年〜2000年にかけて連載された茶畑るりさんの『へそで茶をわかす』は、 独特のセンスを持つ女子高生・ぐりこと、その友人や家族たちが巻き起こすギャグ満載の4コマ漫画だ。
キャラクターの多くは独特の細長い目つきに2頭身の体。シュールなギャグもあれば、餃子を食べたあとに手を息で温めたら息が臭くて恥ずかしくなるなど、共感できるようなストーリーも多く読者の心を掴んだ。
ちなみに茶畑さんは、わずか14歳の中学生で『第270回りぼん新人漫画賞』を受賞し、この『へそで茶をわかす』がデビュー作であった。
現在でも自らが被ったマスクの写真集を販売したり、イベントで似顔絵のイラストを描いたりと、多方面で活躍を続けている。
■アニメ化も大人気になったコメディ作品『赤ずきんチャチャ』
1992年〜2000年にかけて連載された、彩花みんさんによる『赤ずきんチャチャ』は、立派な魔女を目指す主人公・チャチャが奮闘するストーリーだ。
幼馴染で狼男の少年であるリーヤを巡ってチャチャが人魚のマリンとバトルをしたり、はたまたチャチャとリーヤ、魔法使いを目指すしいねの三角関係も勃発していたりと、『りぼん』らしい恋愛ストーリーも巻き込みながらハチャメチャな笑いが続く。
少女漫画としての可愛さも評価された本作はアニメ化され、チャチャの変身した姿「マジカルプリンセス」とのギャップや、個性豊かなキャラクターたちの掛け合いも話題となった。
作者の彩花さんは2012年に『赤ずきんチャチャN 』で待望の続編を発表したが、同作の終了以降、新たな連載作品は発表されていない。ファンとしては、今後の新展開にも期待したいところである。