実は「バージョン違い」が存在していた…ファミコン名作『ロードランナー』と「3つの箱」【ハードオフ大竹店長の「レトロゲームちょっといい話」】の画像
ファミコン用ソフト『ロードランナー』(ハドソン) 写真/ふたまん+編集部

 数万円から数十万円の値段がつくこともある「レトロゲーム」の世界。そんなソフトがズラリと揃う『ハードオフTOKYOラボ吉祥寺店』の店長にして、自身も大のゲームコレクターである大竹剛氏が、毎回1本のソフトを語るこの連載。今回、ショーケースに並ぶソフトの中から取り上げるのは――?

■3つのサイズ違いが存在する『ロードランナー』

『ハードオフTOKYOラボ吉祥寺店』大竹剛店長(写真、ふたまん+)

ハードオフ大竹店長の「レトロゲームちょっといい話」第7回

 

 『ハードオフTOKYOラボ吉祥寺店』の店長、大竹剛です。今回ご紹介するのは、ファミリーコンピュータ用ソフト『ロードランナー』。アメリカのパソコン用ゲームを、ハドソンが1984年に移植したもので、サードパーティが発売した初のファミコンソフトのひとつです。

 現在、当店には4400円(税込)、11000円(税込)、22000円(税込)と、それぞれ異なる値札の付いた『ロードランナー』があります。並べてみると、それぞれ大きさが違うことがわかりますよね。いちばん小さいものが最も安く、いちばん大きなものが最も高い値付けです。ちなみに、ゲームの中身はすべて同じ。違うのは箱のサイズだけです。

 いちばん小さなものは初版で、任天堂やナムコの初期ラインナップと同じく、ビニール袋に入ったカセットがそのまま箱に収まっていました。再販時には、プラスチックのトレイが採用され、ひとまわり大きな「中箱」になりました。そして、スーパーファミコンが発売された後に再生産されたのが 、より大きなプラスチックトレイを使った「大箱」です。

 最も売れた初版が最も安く、1990年代になってから再販された「大箱」が最も高い値付けになっています。でも実は、探すのが難しく、最も稀少価値が高いと言われているのは「中箱」なんです。当店で今「大箱」よりも安い価格になっているのは、箱の一部が破損しているから。買取時の在庫状況が反映された部分もあって、今後、値付けを見直すかもしれません。

■ファミコンソフトは初販版よりも再販版のほうが価値が高い!?

 以前『ドルアーガの塔』の回でも触れましたが、再販時にパッケージが変わり、複数のバージョンが存在する例は、ほかにもあります。全体的に、再販版のほうが出荷数が少なく、稀少価値が高い傾向にありますね。

 代表的なのは、任天堂の通称“銀箱”と呼ばれるもの。任天堂の初期タイトルは定価3800円で発売されましたが、1984年に定価4500円に改訂され、その際にパッケージが変更になりました。それまでタイトルごとにバラバラだった箱の色をシルバーに統一。プラスチックトレイも採用され、ひとまわり大きなサイズになったのです。

 ところが、3800円のバージョンも在庫がなくなるまで併売されていたようで、高い銀箱版は人気がなかったのか、数が出回っていません。そのため、中古市場ではレアなソフトとして、高値で取り引きされています。

 私もまだ勉強不足なのですが、銀箱にもいろいろなバージョンがあったり、『ドンキーコング3』など珍しすぎて相場が定まっていないタイトルがあったりするんですよね。店長として、また、いちレトロゲームコレクターとしても、さらに知識を深めていきたいところです。

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