■如意棒で敵を倒せ! 理不尽な難しさは“アニメ原作ゲーム”あるある

 『ドラゴンボール 神龍の謎』が発売されたのは、私が高校生だったか、卒業したくらいの年。リアルタイムで遊びました。

 悟空を操作して、パンチや如意棒で敵を倒しながら進んでいく、トップビュー主体のアクションゲーム。ステージの終わりにはサイドビューのボス戦が発生し、ヤムチャと戦ったのを覚えています。

 個人的に記憶に残っているのは、敵を倒すと、原作にも登場する「ホイポイカプセル」が出現することがあって、一生懸命集めたことですね。いろんなアイテムが入っていたんだったかな……。

 クリアした思い出はありませんが、漫画の『ドラゴンボール』が好きだったので、なんとしても先に進みたいと頑張ったのは覚えています。でも、理不尽に難しくて、なかなか苦しい戦いでした。

 当時は、漫画やアニメが原作のゲームはデキがイマイチ……という傾向もありましたが、ひとえに原作への愛で遊んでいましたね(笑)。

 ファミコンゲーム化第2弾として、1988年には『ドラゴンボール 大魔王復活』が発売されました。カードゲームの要素を採り入れた謎解きアドベンチャー、みたいな内容でしたが、アクションゲームではなくなったことで、私としてはあまり手が伸びませんでしたね。

 ただ、当時のグラフィックでは、悟空たちの動きをアクションゲームで表現するのはなかなか難しかったと思うんです。ビジュアル面で納得できる方向に、うまく舵を切ったんじゃないでしょうか。……と、これはクリエイター目線の感想ですね(笑)。当時はまさか、のちに自分がゲームメーカー(※テクノスジャパン)に就職して開発の仕事をするとは思っていませんでした。

 ちなみに、この『ドラゴンボール 大魔王復活』も、復刻版が発売されています。

 その後、CGの技術が発達するにつれて、『ドラゴンボール』の格闘アクションが登場します。でも、プレイステーション時代のCGって、まだまだ見劣りするものでしたよね。妙にツヤツヤしていたりして(笑)。

 テクノスジャパン時代の上司は「この先、時代が進んでも、ひとの手で描かれた漫画やアニメを、CGが超えることはない」なんて話をしていました。それが、現行ハードで『ドラゴンボール』のゲームを遊ぶと、まるでアニメそのもので、手描きの味みたいなものまで感じられるんですよね。時代は変わったんだなぁ、と感慨深いです。

 

※ソフトの値段や状態などは2025年4月のものです。

【プロフィール】
大竹剛(おおたけ・つよし)
「レトロゲーム」に造詣が深い“元ドット絵職人”。ゲームメーカー「テクノスジャパン」で、主に『くにおくん』シリーズにドッターとして参加。現在は「ハードオフTOKYOラボ吉祥寺店」で店長を務める。本人もレトロなゲームのコレクター。

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