
クールな眼差し、印象的なコスチューム、そして艶やかなアクション。美しさと強さを兼ね備えた「美人刺客」たちは実写化作品において単なる戦闘要員にとどまらず、観る者の心を奪う存在である。また、その役柄は演じる女優たちにとっても、これまでにない魅力や表現力を引き出す挑戦の場となっている。
今回は、実写化作品において「美しき暗殺者」を演じた3人の女優に焦点を当て、彼女たちがまとう衣装、こだわり抜かれたアクション、そして役を通じて浮かび上がる新しい顔まで、その魅力をたっぷり紹介していく。
※本記事には作品の内容を含みます
■ポップで可愛い凄腕殺し屋『バイオレンスアクション』橋本環奈
2022年公開の『バイオレンスアクション』(原作:沢田新さん、作画:浅井蓮次さん)で、橋本環奈さんが演じたのは殺し屋・菊野ケイだ。
昼は日商簿記検定2級合格を目指す専門学生、夜はデリヘルに偽装した殺し屋派遣サービス「ぷるるん天然娘特急便」に所属する、指名ナンバーワンの凄腕殺し屋という二面性を持つキャラクターである。
ピンクのショートボブに、肩出しトップスやハイウエストのショートパンツなど、ふんわりとした可愛らしい衣装が印象的だが、戦闘に入ればその姿は一変。アクロバティックな銃撃戦や激しい肉弾戦を軽やかにこなす。
橋本さんはケイを演じるにあたってアクション練習を3カ月にわたって積み、ワイヤーアクションや殺陣にも体当たりで挑戦したという。本作が彼女にとって本格的な殺し屋役、そしてハードなアクションへの初挑戦となった。
冒頭、ホテルでのシーンでは「お待たせしました! ぷるるん天然娘特急便のケイです!」というセリフとともにターゲットのもとへ乗り込み、スタイリッシュに敵をなぎ倒していく。この迫力あるアクションで、一気に物語の世界へと引き込まれてしまう。
特に、城田優さん演じる殺し屋“みちたかくん”とのバトルは、本作屈指の見どころだ。
みちたかくんは作業服姿の大男で、改造ネイルガンを武器に戦う。ケイは何発も釘を受け一度は敗れる展開となるが、最終的には背後からの拘束を肘打ちで振り払い、華麗な後ろ回し蹴りで吹き飛ばし勝利。この一連の動きには、橋本さんが鍛えたアクションと表現力が凝縮されていた。
■エリート忍者で残念すぎる美人『銀魂2 掟は破るためにこそある』夏菜
2018年公開の『銀魂2 掟は破るためにこそある』(原作:空知英秋さん)で、夏菜さんが演じたのは、元幕府お抱えのエリート忍者であり、現在は裏稼業で悪徳商人を斬る“始末屋”として生きる猿飛あやめ、通称「さっちゃん」である。
さっちゃんは登場シーンからしてインパクト抜群だ。キャバクラにいる小栗旬さん演じる坂田銀時にクナイを投げるも、あっさりと投げ返されて自分の頭に命中し、落下する姿は原作同様のコメディ全開。「あたたたた」と言ってはいるが、頭にクナイが刺さっても平然としているあたり、さすがはエリート忍者(?)といったところか。
衣装も目を引く。原作さながらの紫色のロングヘアに赤縁メガネ、美脚が際立つくノ一装束といった“さっちゃんスタイル”を完全再現。さらに、銀時の命令で臨時のキャバクラ嬢になる場面では、なにと勘違いしたのか赤いボンデージ姿を披露するという衝撃の展開も……。自虐的に銀時を追い回すドMキャラを、夏菜さんは振り切った演技で見事に体現してみせた。
のちのインタビューで夏菜さん自身が「出来る限り、原作に忠実に演じようと思って努力しました」と語っているように、原作通りの“残念な美人”ぶりは、作品の強烈なアクセントとなった。