■人形系のホラーはいつの時代も怖い『見たら最期』

 最後は、ホラーの定番「日本人形」を題材にした1992年8月6日放送の『見たら最期』を振り返りたい。同作は、膨大な作品の中でもとりわけ「怖い」の声が多く上がる名作の一つだ。

 主人公は、テレビディレクターの杉山次郎(筧利夫さん)。あるとき杉山は心霊番組のために旧家を訪れ、呪いの人形の撮影をしていた。室町時代から一族に伝わるその日本人形は、人に見せてはいけないという言い伝えがあるという。

 同行した心霊評論家は偽物だと言うが、クルーが映像を確認すると持ち主である大原千鶴子の背後に日本人形と同じ格好の少女が映っていた。そして、その日のうちに心霊評論家が死んでしまう。

 不穏な事態は加速度を上げ、大原千鶴子、AD、カメラマンまでもが次々と不審な死を遂げていく。日本人形の呪いだと確信した杉山は、テープを持つプロデューサーに放送中止を訴えるも聞いてもらえず。最後の手段でテープを強引に奪うと、女性ディレクターと車で局を飛び出す。ちなみに、プロデューサーも階段から落ちて死亡している。

 撮影を反省する杉山だが時すでに遅し。車内には少女が乗り込んでおり、驚いた2人はハンドル操作を誤ってガードレールに追突してしまう。

 いわく付きの人形、止まらない呪い、各所にチラチラ写る呪いの少女という恐怖の詰め合わせで、『世にも』というよりも、もはや同局の『ほんとにあった怖い話』に近い恐怖演出が取られた同作。しかし、もっと恐ろしい展開がエンディングで描かれる。  

 映像を廃棄処分したとテレビ局関係者から聞き、「他にあれを見た人はいないわけですね」というストーリーテラーのタモリさん。すると関係者は「それが……他にもいるんです。数え切れないほど」と言う。数え切れないほどの人というのは、我々視聴者のこと。最後の最後で巻き込み型のホラーだったことが明かされるのだ。

「見た人は死ぬ」系のホラーは、ドラマとわかっていても怖いもの。子どもやホラーが苦手な人は、間違いなく不安になってしまうだろう。

 一癖も二癖もあるオチで、我々を恐怖のどん底に叩き落してくれる『世にも奇妙な物語』初期のホラー作品たち。今では見る機会もほぼないが、いつか再放送してくれたら嬉しいものである。

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