織田裕二『ロッカー』以外にも…初期の『世にも奇妙な物語』絶対に忘れられない「ガチ怖回」 「もう鏡が見られない…」の画像
織田裕二 (写真/ふたまん+)

 放送開始以来、延べ577本にも及ぶ作品を生み出してきたドラマ『世にも奇妙な物語』(フジテレビ系)。5月31日には35周年を記念した『世にも奇妙な物語35周年SP〜伝説の名作 一夜限りの復活編〜』の放送が決定し、再び過去の作品たちが注目を集めている。

 過去作品といえば、初期の頃は特に強烈なインパクトの怖い作品が多かった。ただ、「怖い」のジャンルも幅広く、今回のSP版で放送されることが発表されている織田裕二さんによる90年放送の名作『ロッカー』のような、シチュエーションホラーからオーソドックスな心霊ホラーまでバラエティ豊かな内容がそろっている。 

 今回は、そんな初期に放送された作品の中から、“怪異”や“オカルト”を題材にした「本コワ回」を振り返ってみよう。

※本記事には作品の内容を含みます

■映画の元ネタにもなった名作ホラー『急患』

 『1991年春の特別編』で放送された『急患』は、2004年公開の映画『感染』の元ネタになった作品で、深夜の病院という閉鎖された空間で起こる恐ろしい出来事を描いたホラーだ。主演は近藤真彦さんと佐野史郎さんで、脚本は後に『踊る大捜査線』(フジテレビ系)などを手がける君塚良一さんである。

 これはある晩、七沢医師(近藤さん)と森医師(佐野さん)の務める病院に、全身の皮膚が変色し、心肺停止状態にあるにも関わらず「時折動く」という明らかに異常な急患が運び込まれるエピソード。

 ストレッチャーからは緑色の液体が流れ出ており、七沢は厚生省に連絡しようとするが、患者は忽然と姿を消し、そばにいた看護師が感染してしまう。医師らは院内を探すも患者はおらず、それどころか別の看護師や森までもが感染し、謎の行動を取ったかと思うと口から緑色の液体を流して死んでしまう。次は自分かと怯えた七沢は自身の赤い血を確認して安堵するも、なぜか記憶が混濁していることに気づく。

 次の瞬間、七沢は自分のデスクで目覚める。どうやら全て夢だったようだ。同じシチュエーションで急患が運び込まれるが、緑色の液体もこぼれていない。が、ホッとしたその瞬間、ストレッチャーからゾンビのような顔の森が起き上がってきた。

 場面が変わると、そこには指から緑色の液体を流して叫ぶ七沢の姿が。赤い血を確認したあのとき、彼はすでに感染していたのだった……。

 薄暗い院内、天井を歩く森医師、ベッドの上に佇む看護師……など、これでもかと詰め込まれた恐怖演出とラストのジャンプスケアにより、本格的ホラーとして今もファンの間で名作と語り継がれる同エピソード。感染原因も患者の姿もわからないままというモヤモヤ感が残るのも、面白さを引き立てる要因かもしれない。

 そして、同作は佐野さんの演技がとにかく怖い。この『急患』の翌年、佐野さんは同じく君塚さんが脚本を務めた『ずっとあなたが好きだった』(TBS系)の冬彦役で視聴者を震え上がらせることになる。

■最高視聴率を記録した放送回の恐怖エピソード『鏡』

 初期の『世にも奇妙な物語』は、オムニバスという斬新な構成もあり、放送のたびに話題を集めていた。視聴率も上がり、1991年3月21日には最高視聴率25.7%を記録している。『鏡』は、その3月21日に放送されたホラー作品だ。

 風見しんごさん演じる主人公の木村祐二には、鳥越マリさん演じる恋人・小山京子がいた。だが、裏で祐二はめぐみ(相川恵里さん)と浮気中。京子への愛はすでに冷め、デート中、何も知らずにオルゴールを欲しがる彼女に別れを切り出すつもりでいた。

 そんな折、2人は遊園地にあった“鏡の館”でどちらが先に出られるか競争をすることになる。しかし、裕二は鏡から出られないと怯える彼女に暴言を吐いて置き去りにしてしまう。

 帰宅後、めぐみと会う裕二だが、ここでめぐみが京子の欲しがっていたオルゴールを買ってくるという不思議な出来事が起こる。そこから裕二は、あらゆる鏡の中に京子の姿を見るようになっていった。

 これはまずいと再び鏡の館に行くと、鏡の中から京子が「引っ張ってほしい」と懇願してくる。だが、裕二はそれを無視してバットで粉砕。あまりに酷い行動だが、なんと今度は別の鏡に頭から血を流して「ひどい」と泣く京子が現れる。

 鏡を割っても消えなかった京子は、その後もめぐみのオルゴールの中の鏡や裕二が逃げ込んだエレベーター内の鏡に血まみれの姿で現れる。驚いた裕二がオルゴールを投げつけ、衝撃で血がブシャッと出るシーンはトラウマレベルの気味悪さだ。

 裕二はなんとか外に逃げ、鏡のない広場で「これでもう出てこれない」と勝ち誇る。だがそのとき、水たまりから現れた京子に引きずり込まれてしまうのだった。 

 異世界と繋がっているという説もある「鏡」を題材にした同作。恋人に裏切られた京子には同情するが、血まみれのままあちこちから出てくる姿は鳥肌ものだ。視聴後、しばらく鏡が怖かったのは筆者だけではないだろう。

  1. 1
  2. 2
  3. 3