■『びっくり熱血新記録!はるかなる金メダル』ベートーヴェンの運命

 続いては『びっくり熱血新記録!はるかなる金メダル』(テクノスジャパン)で出てくる、ベートーヴェン作曲の『交響曲第5番』。「運命」の通称をつけられた、「ジャジャジャジャーン」の出だしで有名なアレである。

 こちらは先ほどまでの例とはちがい、原曲とまるで正反対のイメージになっているというほどではない。大枠は原曲そのままといってもいいくらいだ。しかしそこにファミコン音楽特有の効果音がふんだんに盛り込まれていることで、また違った印象になっている。 

 「ジャジャジャジャーン」の合間にちょっとドタバタッと挟まれる、シューティングゲームを思わせる効果音の数々。原曲では何も音がないからこそ緊張感が生まれるのだが、その余白に加わった新しい要素がコミカルさを演出している。

 その後続く部分でも、メロディーにずっとホワホワした音が添えられていて、「シリアスなはずなのに結局コミカル」というなんとも絶妙なバランスが成り立っている。聴いているとちょっと力が抜けて笑えてしまう、魅力的なサウンドだ。

■『テトリス』ブルグミュラーのアラベスク

 最後に紹介するのは、BPS版『テトリス』に出てくるBGMのひとつ『テクノトリス』である。ただしこの曲は、クラシック曲をアレンジしたというよりは一部モチーフとして使用する形になっている。

 元ネタはブルグミュラーが作曲した25の練習曲のひとつ『アラベスク』。ピアノ初級者の定番曲として有名なので、耳なじみのある人も多いのではないだろうか。

 『テクノトリス』で『アラベスク』のメロディーが出てくるのは、曲が始まってしばらく経ってからだ。それも最初からいきなりあの音型がバチッと出てくるのではなく、かなりじわじわと現れる。

 『アラベスク』のメロディーが隣り合った音の連続なのに対し、メインのメロディーは跳躍が多く、その対照も面白かった。まったく違う2つのメロディが絡み合って不思議な調和を生み出しており、もともとそういう曲だったのでは? と思わされるほどである。

 練習曲のイメージがある『アラベスク』だが、それがこんな魅力的なワクワクサウンドになるとは! きっとブルグミュラーもびっくりだろう。

 

 今回は4つの曲を取り上げたが、これはあくまで一例である。他にも秀逸なアレンジは多くあるし、もちろん、筆者がまだ出会っていない名曲も存在するだろう。

 元ネタを知らずとも素晴らしいのには間違いないが、知れば新たに見えてくる魅力もあるはずだ。ぜひこの機会にじっくり聴き比べてみてはいかがだろうか?

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