漫画やアニメの作中で亡くなった人気キャラクターのなかには、現実の世界で「葬式」が行われたことがありました。『あしたのジョー』の力石徹、『北斗の拳』のラオウ、『タッチ』の上杉和也、『銀河英雄伝説』のヤン・ウェンリーなど、作品とキャラクター名を聞けば大半の人が知っているような有名キャラが多いかと思います。
しかし、これらのキャラや作品に比べると、一般的にはそこまで有名とはいえないキャラクターの葬式が、今からちょうど44年前の1982年3月25日に大々的に執り行われたことをご存知でしょうか。
その人物は、ロボットアニメ『六神合体ゴッドマーズ』に登場したキャラクター「マーグ」。当時、中学生で思春期ど真ん中だった筆者は、マーグの葬式に参加しました。
■なぜロボットアニメキャラの葬式が執り行われたのか
『六神合体ゴッドマーズ』は1981年から日本テレビ系にて放送が始まったロボットアニメ。6体のロボが合体して巨大ロボ「ゴッドマーズ」になる、いわゆる勧善懲悪の合体ロボもので、当時の人気作品でした。ただ、『機動戦士ガンダム』ほどは幅広い層に認知されていなかった印象です。
物語の舞台は1999年。地球侵略を目論むギシン星のズール皇帝の魔の手が伸び、地球に暗殺者が送り込まれます。地球を守るクラッシャー隊のひとりである主人公・明神タケルは戦いのなかで、実は自身も17年前に地球を破壊するために送り込まれたギシン星人「マーズ」であることを知ります。
愛する地球とギシンのあいだで板挟みになったタケルは、それでも地球と宇宙の平和のために戦い続けることを決心。そんなタケルにテレパシーを送り、ギシン星の情報を伝えていた人物が、タケルことマーズの双子の兄「マーグ」でした。そして激化する戦いのなかでマーグは命を落とすのです。
これだけを聞くと、単なる脇役キャラが戦死しただけに感じるかもしれません。しかし、このマーグというキャラクターは当時、すさまじい女性人気を誇りました。
主人公のタケルはいかにもロボットアニメの熱血主人公といった見た目ですが、双子の兄・マーグの容姿をたとえるなら、まさに「王子様」。
青い瞳にまつげが長く、細眉。緑の長髪を金のサークレットでまとめ、長いマントを風になびかせて、諜報活動に用いる青い小鳥をかわいがっていたのもポイントです。さらに超能力を有し、ミステリアスな出生の秘密を抱えるマーグは非の打ち所がない魅力的な存在で、女性を中心に絶大な支持を集めました。
青い小鳥を殺されて涙する姿、幼い頃に目の前で両親を殺された悲劇、ズールに捕らえられて洗脳されて弟と敵対することになる悲劇的展開など、回を追うごとにマーグという存在に魅了されていきます。
そして主人公をはるかに上回る人気を博したマーグは、第19話「マーグ・地球に死す!」の回で命を落としました。その衝撃回以降、“マーグ・ロス”に陥ったのは筆者だけではなかったはずです。
ショックのあまり、その後の『ゴッドマーズ』で回想シーンが流れるたびに涙がこぼれる始末でしたが、とんでもない情報が舞い込んできました。
アニメを放映していた日本テレビの主催で「マーグ追悼会」なる葬式が執り行われることが雑誌『アニメディア』(学習研究社)にて発表されたのです。


