■主催側と参列者のあいだに感じた温度差
この「マーグ追悼会」の会場では、自分以外にもマーグの死でこんなにも悲しみ、泣いている人がいる事実と雰囲気に飲み込まれ、涙腺が壊れたように涙が止まりませんでした。
ただ、参列したファンが本物のお葬式のような気分だった一方で、壇上に掲げられたマーグの遺影や献花台以外、この追悼式は通常のアニメイベントのように催されました。
葬式に列席するためのハガキには「ご招待券」という文字があったり、「さよならマーグ、安らかに眠れ」という文字がハートマークで飾られていたり、さらには前述のような抽選会やトークコーナーがあったりと、「お葬式」と捉えると違和感を持ってしまう演出があったのです。
イベント中も、水島さんが自身の体型や衣装をネタに、石丸さんと軽快なトークをして盛り上げようとしてくれましたが、泣いている人が多かったために会場の反応はイマイチ。しんみりする会場の雰囲気とのギャップを感じましたし、当時中学生だった私は「お葬式なのに声優さんが明るいなぁ」と不思議に感じてしまいました。
イベント主催者がファンを喜ばせようとお楽しみ要素を盛り込んでいたのに対し、参加したファンの大半は「お葬式」に来た感覚だったはず。その意識の違いが、色濃く出てしまった「追悼会」だったように思います。
ですが、このマーグのお葬式はアニメ誌だけでなく新聞などのメディアにまで取り上げられ、大きな話題になります。その反響もあって『ゴッドマーズ』はファンの署名運動の末に、映画化まで決定しました。
それほど当時のマーグ人気はすさまじいものがありました。私にとって、初めて“推し”の葬式に参列でき、公の場でキチンとお別れをする機会をいただけたのは貴重な経験でした。
『六神合体ゴッドマーズ』というアニメは、国民的作品とまでは言えないかもしれません。ですが、当時あれだけの熱量をもって、「マーグ」という大好きな王子様のために泣いた、私と同じようなファンが大勢いたことは紛れもない事実なのです。


