「存在すら知らなかった…」ファミコン国民投票でランクイン、隠れた名作『ゴッド・スレイヤー』は本当に「名作」だったのかの画像
『ゴッド・スレイヤー はるか天空のソナタ』(C)SNK CORPORATION 1989

 任天堂がファミリーコンピュータ40周年記念キャンペーンのひとつとして2023年から2024年にかけて実施したアンケート企画「ファミコン国民投票」。「スポーツゲームといえば?」「裏技といえば?」など全部で51のテーマでユーザーによる投票が実施されたのだが、そのうちの一つに「隠れた名作といえば?」というテーマがあった。

 「隠れた」というだけあり、現在では中古価格が高騰化している入手困難なゲームがランクインする中、「Nintendo Switch Online」でプレイ可能なゲームもチラホラ。その中の1つが15位に名前が挙がった『ゴッド・スレイヤー はるか天空のソナタ』(1990年、SNK)だ。

 筆者は、恥ずかしながらこのソフトの存在すら知らなかった。そこで今回、実際にプレイして「隠れた名作」ぶりを体験してみた。

■驚くほどの操作性の良さに感動

 本作は主人公が「風」「火」「水」「雷」の4つの剣を使い分け冒険をするという、いわゆるアクションRPG。舞台は文明が滅びたあとのモンスターがはびこる世界で、救世主として目覚めた主人公が冒険に出かける物語だ。

 ゲームを開始すると、草原を駆ける主人公の軽やかな足取りに、まず驚かされる。ファミコンでは珍しいスムーズな斜め移動が、操作性の良さを象徴していると言えるだろう。またマップも画面が細かく切り変わらずにシームレスに移動ができ、スムーズでスピード感あふれるプレイが楽しめる。

 さらに戦闘が実にテンポが良い。敵の攻撃をスッとかわして剣を振るう、自分の操作がそのまま画面に反映される感覚は、ストレスを感じることなくゲームへの没入感を高めてくれる。このプレイ感覚こそが「名作」と言われる理由のひとつなのだろう。

 スピードが速すぎて、いきなり敵が現れるとぶつかってダメージを受けてしまうため、初めての場所では慎重なプレイも必要ではあるのだが、グラフィック表現と操作性はファミコン屈指の「良ゲー」と言って間違いない。

 また、「風の剣」ではダメージを与えられない敵も「火の剣」ではダメージを与えられるなど、敵によって剣を使い分けるという点も非常に面白い。

■次々と変わる舞台とボスキャラ

 「風の谷の村」の洞窟で目覚めた主人公は、「風の剣」を譲り受け、残る3本の剣を探す旅に出る。

 草原を駆け巡るかと思いきや、洞窟の中を進んだり、迷いの森に入ったり、山を登ったり、様々な場所を冒険することで飽きさせない作りになっている。また、登場するボスもなかなかに個性的で、それぞれに違った戦い方を求められる。かなり硬派なアクションRPGという印象だ。

 個人的に印象に残っているのは序盤の「迷いの森」。植物が吐く毒で覆われた森で、何もなしに行くといきなり死んでしまう。

 いきなりゲームオーバーになったため、一瞬何が起こったか分からなかった。ここはガスマスクがないとダメージを受けてしまうゾーンだったのである。

 ガスマスクを入手することでダメージを受けずに進めるようになるが、登場してくる敵キャラに巨大な虫が多く、まるで『風の谷のナウシカ』の腐海のような雰囲気。オープニングでも『天空の城のラピュタ』のラピュタのような空に浮かぶ城が描かれており、チラホラとジブリ映画の影響を感じさせる作風なのだが、迷いの森のボスも王蟲そっくりのビジュアル。これが結構手ごわい。何度かやられて倒したときには思わずガッツポーズをしてしまった。

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