
1996年、ゲームボーイ用ソフト『ポケットモンスター 赤・緑』が発売されてから、実に多くのポケモンたちが登場してきた。その数、実に1025種類。(2025年5月現在)
それぞれのポケモンたちはユニークな見た目だけでなく、図鑑や物語からさりげなく読み取れる独自の生態も魅力の一つである。しかし、なかにはその見た目からはちょっと想像しがたい背景を持つポケモンも……。
たとえば、初代作品から登場しているエスパータイプの「ユンゲラー」。キツネのような顔が特徴的なポケモンだが、ポケモンずかんの説明文を見ると“超能力少年がユンゲラーに変身した”という記述があり、なんと元々は人間であったという驚愕の設定がある。
そして意外なことに、ユンゲラー同様、元々は人間だったと思わしきポケモンはほかにも多く登場している。背景を知ると思わずぞっとしてしまうポケモンたちについて見ていこう。
※本記事には作品の内容を含みます
■可愛らしい見た目に隠された強い怨念…『ダイヤモンド・パール』ユキメノコ
ゴーストタイプのポケモンは、幽霊や幻の類いをモデルにしているとあって、やはりどこか不穏な生態や背景を持っていることが多い。
なかでも見た目の可愛らしさに反し、なんとも恐ろしい過去を持っているのが『ダイヤモンド・パール』で初登場した「ユキメノコ」だろう。
こおりタイプを併せ持つユキメノコは、氷柄の白い着物に赤い帯を巻いた和服美人を彷彿とさせるデザインが特徴だが、のちに発売された『LEGENDS アルセウス』の図鑑には「恨み抱え 雪山に 消えし 女人の魂 宿りし ポケモン」と記述されており、怨念を抱いた人間の女性が生まれ変わった姿であることが判明している。
初登場時から、“気に入った人間やポケモンを冷気で凍らせ、巣に持って帰って飾る”といった、ホラーテイストな設定もあり、我々の世界でも語り継がれている妖怪・雪女と似通った特徴を持っている。
可愛らしい見た目をしてはいるが、その裏に潜む女性の執念を思うと、どこか肝が冷えてしまう。
■自分を知る誰かに会うため、彷徨い続ける存在……『ブラック・ホワイト』デスマス
ポケモンのなかには、我々人間が使う道具を携えているものも多い。その道具に物悲しいエピソードが秘められているのが、『ブラック・ホワイト』から登場したゴーストタイプのポケモン「デスマス」だ。
ゴーストらしい黒い幽霊のような体に、どこか泣いているようにも見える赤い目、顔の下にある黄色い仮面が特徴的なポケモンだ。
デスマスが大事そうに持っているこの仮面……実は『ソード』の図鑑で驚きのエピソードが明かされていた。それは「もっている マスクは ひと だった ころの じぶんの かお」というもの。たましいポケモンに属していることからも、死後の人間の魂がポケモンになった存在であることが明らかになっている。
また、『シールド』の図鑑には「じぶんの かおを しる ひとを さがし いせきを さまよう」とも書いており、魂に残った強い未練が彼らをポケモンとして生まれ変わらせ、この世へと繋ぎ止めたのだろうか……と、なんとも言えない気持ちになってしまう。