■その正体はまさかの古代人!?『ブラック・ホワイト』プルリル

 『ブラック・ホワイト』から登場したゴーストタイプの「プルリル」も、のちのシリーズで思いがけないルーツが紐解かれたポケモンだ。

 プルリルは長い手足を持つクラゲのような見た目のポケモンで、オスだと青色、メスだと桃色で、表情もそれぞれ微妙に異なっている。

 見た目こそ神秘的なプルリルだが、のちに発売された『シールド』でその正体にまつわる意外な事実が明らかに。

 『シールド』の図鑑には「かいていに しずんだ こだいとしの じゅうみんが ポケモンに なったと いう いいつたえが のこされている」とあり、かつて亡くなった人間の魂であることが示唆されているのだ。

 また、『ソード』の図鑑では「てあしで エモノを だきかかえ 8000メートルの しんかいへと ひきずりこむ」と物騒な記述も。見た目に反し、かなり危険なポケモンであることが分かる。

 海底に眠っている者たちが誰かを道連れにしている……そんなあらぬ想像を働かせてしまう、なんとも不穏な背景を持ったポケモンである。

■寂しさから誰かを呼び続ける幼い魂…『X・Y』ボクレー

 『X・Y』にて初登場となった「ボクレー」は、切り株で作った仮面をかぶった小さな体のポケモンだ。

 見た目通りゴーストとくさの複合タイプであるボクレーは、進化前ということもあり、どこかマスコットキャラのような愛くるしい姿をしている。

 だが、『バイオレット』の図鑑には「死んだ 子供の 魂が 切り株に 宿った ポケモン」と記述されており、本来は幼い子どもであったことが明らかとなっている。

 また、なかには子どもの声真似をして人々を森へと迷い込ませ、自分の仲間にしようとするという習性も記されており、人間にも危害を加えることが読み取れる。

 もしかしたら彼らは寂しさを紛らわすため、誰かを森の奥へと誘っているのかもしれない。その愛らしい姿も元が幼い子どもだったゆえ……と思うと、彼らがポケモンになるまでの仄暗い背景にどこか胸を締め付けられてしまう。

 

 マスコットのように可愛らしい見た目が特徴のポケモンたちだが、その設定や背景を探っていくと「実は彼らが人間だった……」という予想だにしない事実が明らかになることも。

 特にシリーズを通してもゴーストタイプにはその傾向が強く、はっきりと「人間だった」という事実が明記されているなど、秘かに仕込まれた公式設定の数々には驚かされてしまう。

 そのルーツや隠された誕生秘話を紐解いてみるのも、『ポケモン』シリーズの醍醐味の一つだと言えるだろう。

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