■敵対関係を越えた共闘『ルパンレンジャーVSパトレンジャー』初美花とつかさ
シリーズ第42作目『快盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー』(2018年)では、異色の女子コンビが登場する。
ルパンイエロー/早見初美花は、最年少ながらマイペースで明るい性格。一方、パトレン3号/明神つかさは、サバサバした男勝りな性格ながら、ぬいぐるみ好きというギャップが魅力的だ。
怪盗と警察という立場も信念も異なる2人が、ときに火花を散らしながらも心を通わせていく展開が、他のシリーズにはない本作ならではの醍醐味だった。
なかでも2人の距離が一気に縮まったのが、第13話「最高で最低な休日」。たまたま同じ日にオフを取った2人は、なぜか一緒に遊園地を巡ることに。普段はクールなつかさがお化け屋敷を本気で怖がる意外な一面を見せ、初美花が思わず「大丈夫だよ」と抱き寄せるという、微笑ましい場面も。
しかし、束の間の休日は突如現れたギャングラーによって一変。遊園地は大混乱に陥り、つかさは警察官として、初美花は怪盗として、それぞれの使命を胸に立ち向かうが、敵の攻撃で2人は鎖でつながれてしまう。
ここで敵対する立場を越えて共闘を選ぶ2人の姿は、胸アツな展開だった。
戦闘シーンでは、ルパンイエローの機転をパトレン3号が信じ、あえて敵の攻撃を受け油断を誘う信頼プレーも飛び出す。敵対する運命を背負いながら、それでも通じ合っていく2人。女性の絆が強く光ったエピソードだった。
シリーズごとにさまざまな個性を持った女子コンビたち。時にぶつかり合い、時に支え合いながら育まれる友情は、男子メンバーとのやりとりとはまた違った特別な輝きを放っていた。
『スーパー戦隊』シリーズにおいて、女子2人体制ならではの関係性は、物語に深みと彩りを加える重要なエッセンスだ。これからのシリーズでも、そんな胸を打つ“女子コンビの神回”が生まれていくことを期待したい。