
『スーパー戦隊』シリーズといえば、カラフルなスーツに身を包んだ男女混成チームが力を合わせて戦うスタイルが定番だ。そのなかでも、女性戦士が2人いる「女子2人体制」の戦隊は、シリーズに特別な魅力を添えてきた。1人だけでは味わえない、女同士ならではの友情や葛藤、支え合い……そんな関係性がドラマに深みをもたらしてくれるのだ。
今回は、スーパー戦隊の中から「女子コンビ」に注目し、それぞれの個性が光った名シーンや感動のエピソードを振り返っていく。
※本記事には各作品の内容を含みます
■シリーズ初の女子2人体制!『超電子バイオマン』ジュンとひかる
シリーズ第8作『超電子バイオマン』(1984年)は、『スーパー戦隊』シリーズで初めて女性戦士が2人体制となった記念すべき作品だ。
フルートが趣味のお嬢様女子大生・ピンクファイブ/桂木ひかると、物語序盤で戦死した初代イエローフォーに代わり加入した勝ち気なアーチェリー選手、2代目イエローフォー/矢吹ジュン。対照的な個性を持つ2人の活躍が、多くのファンの心に残っている。
2人の絆が強く描かれたのが、第15話「女戦士炎のちかい」だ。新帝国ギアによる“デビル菌”の散布というとんでもないバイオテロが発生し、人々が次々と倒れる非常事態のなか、ひかるは敵のスパイを取り逃がし、さらに強力なデビル菌が撒かれることなってしまう。
責任を感じて落ち込むひかる。そんなひかるを見て勝気なジュンは「こんなところでうじうじしてるなんて大嫌い」と、一喝。本編ではカットされていたが、次回予告ではジュンがひかるにビンタを見舞うシーンもあり、その熱さが印象的だった。
そして、ジュンの激励ともいえる叱咤を受けたひかるは、デビル菌に自ら感染しながらもワクチンの材料を探し続け、ついにワクチンとなる植物を見つけ出すのだった。
戦闘シーンでは、得意のフルートを吹きながら敵の前に現れるひかる。ジュンも思うところがあったのだろう。「私も応援にいくわ!」とバイオロボから飛び降り、ひかるの加勢に向かう。
挿入歌『セクシャル・レディ』が流れるなか、女子2人だけの戦闘シーンへ。さらに2人の連携必殺技「ペアータイフーン」も炸裂。女戦士たちの意地と友情が光る熱いバトルシーンとなった。
ジュンの叱咤に奮い立ち、未曽有の危機を共に乗り越えた2人。女子コンビだからこそ描けた、胸を打つ友情の名エピソードであった。
■姉妹のような信頼関係『侍戦隊シンケンジャー』茉子とことは
シリーズ第33作目『侍戦隊シンケンジャー』(2009年)に登場するのは、しっかり者のお姉さんキャラ・シンケンピンク/白石茉子と、メンバー最年少のおっとり妹系キャラ・シンケンイエロー/花織ことは。バランスの良い王道ともいえる女子コンビであった。
そんな2人の絆が深く描かれたのが、第13話「重泣声(おもいなきごえ)」。この回の敵は、子泣き爺をモチーフにした外道衆「ナキナキテ」。ナキナキテは妖の力で“白鬼子”という、成人男性が全身白タイツ姿となったような分身を作り出し、親たちに自分の子どもだと思い込ませる、なかなかショッキングな作戦を展開してくる。
シンケンジャーの男性メンバーたちも“赤鬼子”に抱きつかれ、戦闘不能に。残された茉子とことはは厳しい状況に立たされながらも、親を奪われた子どもたちの世話をし、笑顔で頑張り続ける。
しかし、実は先の戦闘で深手を負っていた茉子。それでも「大丈夫、大丈夫」と気丈に振る舞う彼女を見て、「たまには、ぎゅっとしてもいいやんな」と、そっと茉子を抱きしめることは。これまで茉子に抱きしめられ励まされ続けてきたことはのお返しともいえる優しい行動に、視聴者も心が温かくなった。
戦闘シーンでは2人はそれぞれのモヂカラである「風」と「山」の力を合わせ、新たな力「嵐」を生み出し、ついにナキナキテを撃破。助け合い、支え合いながら困難を乗り越えた2人の姿は、まさに“姉妹のような友情”そのものだった。