■多重構造のトリックに挑む『水平線上の陰謀』

 そして、最後は2005年に公開された劇場版第9弾『水平線上の陰謀』。本作では豪華客船が舞台となり、「動く密室」で殺人事件が発生した。本作も『ベイカー街の亡霊』と同じく「倒叙」が採用されており、さらにその後、一筋縄ではいかない展開が待っている本格ミステリーだ。

 毛利小五郎がストーリーの主軸となっており、彼が「眠りの小五郎」としてではなく、しっかり活躍する姿を見せた貴重な劇場版作品でもある。

 コナンや蘭、少年探偵団といった面々は、鈴木園子に誘われた豪華客船での旅を楽しんでいた。しかし、園子が拉致・監禁されたのを皮切りに、船内で殺人事件が発生。犯人によって二重、三重に仕組まれたトリックにコナンと小五郎は挑んでいくことになる。

 初期の劇場版では珍しく1つの舞台で事件が進行する本格ミステリーで、シリーズ屈指の高難度のアリバイトリックはコナンファンのみならず、ミステリーファンも大満足のクオリティだった。

 また、本作最大の魅力として挙げられるのが、「かっこいい毛利小五郎」だ。今年公開の『隻眼の残像』は、この作品以来の「毛利小五郎主役作品」ということが話題になった。そのため、『水平線上の陰謀』の注目度も急激に上がっているのだ。そういう意味でも、今あらためて観返したい作品だといえるだろう。

 

 アクション、ミステリー、胸キュンラブストーリーといったさまざまな要素が融合している劇場版『名探偵コナン』。

 過去の劇場版作品は現在、『名探偵コナン 隻眼の残像』の公開に合わせ、さまざまな動画配信サービスで期間限定配信されている。今回紹介した作品を含め、ゴールデンウィークに気になる作品を一気見してみてはいかがだろうか。

  1. 1
  2. 2
  3. 3