
人気漫画のキャラといえば、登場するときや技を繰り出すときなど、一度聞いたら忘れることのできないお馴染みのセリフがあるものだ。日常生活ではあまり使われない独特でユニークなセリフも多く、それも作品を彩る魅力の1つとなっている。
だが、実は高い知名度に反し、実際には作中で使われていないセリフも存在する。「え、このセリフ、使われていなかったの!?」と思わず驚いてしまう、有名キャラクターたちのセリフ、その意外な背景について見ていこう。
※本記事には各作品の内容を含みます
■レジェンドのアドリブだった…『ドラゴンボール』「オッス、オラ悟空!」
国民的人気を誇る鳥山明さんの代表作『ドラゴンボール』。バトル漫画の金字塔とも言える名作なのだが、本作の主人公・孫悟空のお馴染みのセリフといえば、誰しもが知る「オッス、オラ悟空!」ではないだろうか。
悟空の快活さが存分に表れたなんとも気持ちの良いセリフだが、なんと漫画・アニメの本編で彼は一度も口にしたことがないのをご存じだろうか。
実はこのセリフ、アニメ版の声優である野沢雅子さんがアドリブで口にしたところ、当時のアニメスタッフがそれを気に入り、アニメ版の次回予告で使われるようになったのだとか。
ちなみに、映画版ではこのセリフを言いかけるシーンがあったり、漫画版『ドラゴンボール超』では近しいセリフがあったりと、アニメ版から逆輸入したと思われる言い回しも数多く登場している。
■実はガンダムに乗っていなかった!?『機動戦士ガンダム』「アムロ、行きまーす」
今年、最新アニメ『機動戦士Gundam GQuuuuuuX』が放送され、ますます盛り上がりを見せている『機動戦士ガンダム』シリーズ。なかでも1979年に放送された“ファーストガンダム”は、アニメ界の歴史に残る伝説的な作品として、今も多くのファンに愛され続けている。
そんな初代作品の主人公であるアムロ・レイの代表的なセリフといえば、出撃の際に口にする「アムロ、行きまーす」だろう。
アムロを象徴するセリフなのだが、実はアニメ本編で彼が口にしたのはたったの1回のみ。しかもその際は愛機であるガンダムではなく、小型可変戦闘機コア・ファイターで出撃していたのである。
とはいえ、作中では「アムロ、ガンダム、行きまーす」、「ガンダム、行きまーす」といった微妙に異なる言い回しも多く登場していたため、彼の代表的なセリフとして定着していったようだ。
■名探偵の強い意思が宿った名セリフ『名探偵コナン』「真実はいつもひとつ!」
先日、映画最新作『名探偵コナン 隻眼の残像』が公開され、大きな反響を呼んでいる青山剛昌さんの『名探偵コナン』。
本作を象徴するセリフといえば、主人公・江戸川コナンがアニメで発した「真実はいつもひとつ!」ではないだろうか。
巧妙に仕組まれた難事件を解き明かすコナンの聡明さを存分に表現した名セリフだが、実はこれ、原作では少し異なった言い回しで登場している。
たとえば、コミックス第10巻のなかでは、工藤新一の姿で西の高校生探偵・服部平次に向けて「真実はいつも…たった一つしかねーんだからな…」と告げている。また、第11巻ではコナンが心のなかで「真実はいつもたった一つしかねーからよー…」と独白している。
どれも内容こそ近いものの、言い回しや発言したシチュエーションは微妙に異なっている。このセリフが有名になったのは、やはりアニメや劇場版の予告で使われたことと、そのカッコ良さがファンの心に刺さった影響が大きかったのだろう。