■そのルーツはまさかの読者投稿コーナー!?『幽☆遊☆白書』「伊達にあの世は見てねぇぜ!」
2023年、Netflixにて新たな実写ドラマシリーズが配信され話題となった、冨樫義博さんの大人気バトル漫画『幽☆遊☆白書』。
本作の主人公・浦飯幽助のセリフ「伊達にあの世は見てねぇぜ!」は、本作のテーマ性と幽助のキャラクター性を見事に融合したフレーズであり、多くのファンの心に刻まれているだろう。
しかし、実はこのセリフもアニメ版オリジナルのもので、原作の漫画版にはいっさい登場していない。
しかもこのセリフ、なんと当時『週刊少年ジャンプ(集英社)』でおこなわれていた「第8回キャッチフレーズグランプリ」に投稿された一般読者の考えたものであるというのだから驚きである。
採用されたセリフが描き下ろしの専用イラストと共に掲載されたことも喜ばしいことだが、まさかのちにアニメ版を代表するセリフになるとは、当時の投稿者も予想だにしなかったのではないだろうか。
■声優の強い思いが生み出したまさに名アドリブ『ドラえもん』「ぼくドラえもんです」
1969年から連載が開始され、今もなお新たなアニメ、映画が公開され続けている藤子・F・不二雄さんの『ドラえもん』。
本作の代表的なセリフといえば、未来からやってきたネコ型ロボット・ドラえもんの「ぼくドラえもんです!」を思い出す人も多いだろう。だが、実はこれもアニメ版オリジナルのセリフなのだ。
このセリフは、当時、アニメ版のドラえもん役を演じていた声優・大山のぶ代さんのアドリブから生まれたものだったという。
台本通りであれば、ドラえもんは登場直後、少し高圧的な態度でのび太に語り掛けるはずだった。しかし「子守り用ネコ型ロボットが、そんな悪い言葉を使うわけがない」と思った大山さんは、この礼儀正しく元気な自己紹介の一言を思いついたのだそうだ。
今やさまざまな作品で使われる名フレーズだが、そこには当時、ドラえもんを演じていた大山さんの強い思いが込められていたと思うと、なんとも感慨深くなってしまう。
ファンをはじめ、多くの人々の脳裏に焼き付く名作ならではの名フレーズ。どれもキャラクターや作品の個性が凝縮されたセリフばかりだが、なかには声優のアドリブや読者投稿がきっかけだったりと、セリフが使われるようになった背景も実に興味深いものばかりだ。
作品を代表する名セリフの歴史を知ると、また違った角度から楽しむことができるかもしれない。