
4月8日より放送開始となった『機動戦士Gundam GQuuuuuuX(ジークアクス)』(日本テレビ系)。本作の主人公アマテ・ユズリハはコロニーに暮らす女子高生として普通に暮らしていたが、とある出会いをきっかけにモビルスーツ(MS)「ジークアクス」に搭乗する。
それまでMSでの戦闘経験が無かった主人公が、ある日突然MSに搭乗し戦闘をするというのは『ガンダム』シリーズの王道的展開。多くの主人公がパニックに陥りながらも見事に戦果を挙げ、輝かしい初陣を飾っており、後のエピソードで開花されるそれぞれの“天才性”を感じさせる重要なシーンになっている。
※本記事には各作品の内容を含みます
■平凡な機械オタクの決意の初陣「アムロ・レイ」
『GQuuuuuuX』と同様、「宇宙世紀」の世界に登場する『ガンダム』シリーズの主人公たちの初陣がいかなるものだっただろうか。シリーズ第1作目『機動戦士ガンダム』の主人公アムロ・レイは、初陣で早速“最強”の片鱗を覗かせている。
地球連邦軍の技術者テム・レイを父に持つ当時15歳のアムロは、ジオン軍の襲撃によってコロニー内が戦闘状態に陥り、父を探すためにシェルターの外へ出る。そこで爆風に乗ってアムロの目の前に落下したガンダムの極秘資料を偶然手にするのである。
ペットロボットのハロを自作するなど、もともと機械いじりが得意だったアムロは、資料に記されるガンダムの性能をその場で瞬時に理解していた。
やがて、砲撃によって家族を失い絶望する隣人のフラウ・ボゥに渇を入れ避難を促すと、自身も涙を流しながらも何かを決意したように近くのガンダムへと走り出すのだ。
アムロは、「こいつ……動くぞ……!」と迷わずコックピットに乗り込み、手にした資料を参考に機動シークエンスを開始する。このときのアムロは、冷静に各種操作を進める一方でガンダムの性能の高さにも関心しており、少年らしい好奇心を覗かせていた。
立ちあがるのに苦戦していると目の前にジオン軍のMS・ザクが映り、パニックになりながらバルカンを発射。そしてレバーをガチャガチャと動かし、ついにガンダムが大地に立つ。
その後バルカンの弾を撃ち切り、敵にゼロ距離まで接近されるも、ザクの頭部にあるパイプを掴んで後方に激しく吹っ飛ばす。そしてザクが撤退の様子を見せると「逃がすものか!」と追撃の姿勢をとり、ビームサーベルのジャンプ斬りで一機撃墜する。
MSの爆発がコロニーへの甚大な被害になることを理解したアムロは、走り込んでくるもう一機のザクのコックピットにビームサーベルを突き立て、爆散させずに戦闘不能にするのである。この時点ですでに戦闘に対する不安は感じさせず、自身が精密な操縦をできるかの不安に思考が変わっていたのだから驚きだ。
アムロの初陣は撃墜数が2機。堅牢な装甲や圧倒的なパワーなど、ガンダムの性能の高さが強調された演出だったが、改めて見るとアムロの操縦技術がいかに優れていたかを痛感させられる初陣シーンでもあった。
■復讐に身を任せて戦火に身を投じる「カミーユ・ビダン」
続編となるシリーズ2作目『機動戦士Zガンダム』の主人公カミーユ・ビダンの初陣は、後の他主人公たちと比較しても、特に感情的な描写が多かった。
優秀な成績を収める17歳の高校生であるカミーユは、その直情的な性格ゆえ自身の名前を女みたいだと揶揄した地球連邦組織・ティターンズのジェリド・メサを殴り飛ばし拘束されてしまう。
MP(憲兵)に一方的な暴力を振るわれ復讐心を募らせるなか、反地球連邦組織・エゥーゴの襲撃のどさくさに紛れて脱走し、近くに墜落したガンダムMk-IIに乗り込んでしまう。
技術士官である父のPCからデータを盗み出していたことが幸いし、カミーユはスムーズに機体を起動させる。エゥーゴに敵視されまいと不動のまま冷静に戦況を把握しつつ、自身に暴力を振るったMPを視認。その後突如として飛び上がり、MPの眼前に着地する。そして、「そこのMP! 一方的に殴られる痛さと怖さを教えてやろうか」と復讐心を露わにし、生身の人間にバルカン射撃で威嚇。恐怖におびえるMPを嘲笑し「ざまぁないぜ!」と吐き捨てるのである。その後ティターンズのガンダムMk-IIに躊躇なく突撃するが、近くにいたブライト・ノアの介入を受けて初搭乗は終了となる。
カミーユの初陣における撃墜数は0。とはいえMSの操縦には一切の迷いがない。何事も自身の衝動のままに行動するというカミーユの性格にフォーカスした初陣シーンとなり、アムロとは全く異なる形で新たな物語の幕開けを感じさせてくれた。