■中性的な色気を放つ難しい役をこなす…志尊淳の蔵馬

 最後は、90年代に大ヒットした同名漫画を実写ドラマ化した『幽☆遊☆白書』を振り返ろう。これは2023年にNetFlixシリーズとして制作された作品で、週間グローバルトップ10(非英語シリーズ)でランキング第1位、全言語シリーズで第2位を記録した。

 『幽☆遊☆白書』といえば、浦飯幽助たちと妖怪とのバトルシーンが見どころ。実写化でもアクションに期待が集まる一方で、妖怪の造形が奇抜、霊力という3次元の世界にはないものを使う、原作キャラクターのイメージが強すぎるという様々な要因により、再現は難しいのではとの声もあがっていた。

 だが、幽助役の北村匠海さん、飛影役の本郷奏多さん、桑原和真役の上杉柊平さん、蔵馬役の志尊淳さんら俳優たちの迫真の演技、CGを駆使した高度なVFX技術による迫力満点のバトルシーンにより、実写ならではの見応え抜群の作品に仕上がっている。

 俳優陣の中でもとりわけ注目なのが、蔵馬を演じた志尊淳さんだ。蔵馬は人間と妖狐の二つの顔を持つ人物で、妖艶さ、知的さを求められる難しい役柄。だが蔵馬同様に中性的で美しい顔立ちの志尊さんは、原作と同じ赤髪のロングヘアで蔵馬の特徴をしっかりと捉えていた。 

 より魅力的だったのが、白髪に耳が生えた妖狐バージョンである。個人的には、人間姿よりも妖狐姿のほうがより妖艶さが増し、志尊さんとの親和性も高かったように思う。さらに、作中では鴉と対峙し派手なアクションシーンも披露している。ローズ・ウィップを巧みに操るクールな姿にドキドキしたファンも多いのではないだろうか。

 個性的なキャラクターは実写化のハードルが高くなるものだが、今回紹介したイケメン俳優はみな原作に忠実な役作りをしており再現度も高い。それもすべて、俳優陣が原作へのリスペクトを忘れずに役柄と向き合っているからこそだろう。

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