■全人類に下される絶望の審判『ソニックアドベンチャー2』
最後に、2001年にドリームキャスト用ソフトとして発売された『ソニックアドベンチャー2』(セガ)を紹介しよう。
ソニック陣営で描かれる「ヒーローサイド」と、エッグマン陣営で描かれる「ダークサイド」それぞれのモードをクリアすると、新たなゲームモード「ラストシナリオ」がプレイ可能になる。
スペースコロニー・アークでの死闘の末、エクリプスキャノンの発射を阻止し世界を救ったソニックたち。その裏で、エッグマンがちゃっかりと7つのカオスエメラルドをコントロールルームにセットするが、なにやら想定外の事態が起こっているところから物語が展開する。
7つのカオスエメラルドが揃ったことで突如暴走を始めるコロニー。そして、エッグマンの祖父であるジェラルド・ロボトニックの処刑直前の映像・言葉が、全世界リアルタイムで流れ始めるのだ。
「これは全人類に対する死刑宣告だ」「27分53秒後、アークは地上に衝突しお前たちは世界もろとも消えてなくなるだろう……」と、その内容は衝撃的なものだった。
かつて政府の理不尽な決定によって、不老不死の研究をしていたコロニーを襲撃されてしまったジェラルド。彼は孫娘のマリア・ロボトニックを含むすべてを失ったことで、人類への復讐プログラムを計画していたのだ。
「全人類に対する死刑宣告」という、ソニックの世界観からは想像もつかないパワーワードから始まり、世界中の人々がパニックになる様子や、復讐心から自我が崩壊していくジェラルドの様子が彼の日記から見て取れるなど、恐怖が連続していく。
その後、物語はソニック陣営とエッグマン陣営が共闘してコロニーの落下阻止にあたるという非常にアツい展開に繋がるのだが、かつてないほどシリアスに描写されるこの映像がとにかく怖すぎたことから、『ソニック』シリーズ屈指のトラウマ展開として、今もなおファンの間で語り継がれている。
牧歌的な世界観や可愛いグラフィックに惹かれてプレイしていたのに、予想だにしない角度からプレイヤーをビビらせるゲームはいつの時代にも存在する。今回紹介したゲーム以外にも「こんな展開があったから、プレイするのを辞めた」という思い出がある人も少なくないだろう。
そんな人はもう一度、あの時挫折したゲームに触れてみるのはいかがだろうか。大人になった今なら当時とはまた違った、新しい発見があるかもしれない。