■ハマった平成ライダーは『電王』『W』あとは……!?
──お子さんだけじゃなくて、お父さんがハマっていったのは、どのような流れなのですか?
伊藤 もともと知り合いのタレントさんが『電王』にちょっとだけ出演したというので、その登場回だけ観たことがあったんですよ。そのとき、「あ、今の仮面ライダーってこんなふうになっているんだ。すごいゴージャスだな」と思って。主演の方が衣装を変えながら何回も撮影していて、「すげえな」と思ったんです。
──その認識があって、お子さんと一緒に観ていくうちに、だんだんのめり込んでいったと。
伊藤 子どもと一緒に旧作を観て、時間の許すかぎり新作も観るようになっていって。コロナ禍のステイホーム期間中は、やたらと観ていましたね。『仮面ライダーフォーゼ』(2011年)は、見直したら「すごい学園ドラマだったんだな」とか、そんな発見もあって。
──好きなライダー作品ベスト3を教えていただけますか?
伊藤 う~ん、そうですねえ(しばし考え込む)。私は昭和の世代なんですが、『クウガ』(2000年)以降の、新しく生まれ変わろうとしている平成の仮面ライダーに惹かれます。なかには全然ノレない作品もあるのですが、好きなのはやっぱり『W』と『電王』と、あとは『カブト』(2006年)ですかね。
──それは何が違ったのでしょうか?
伊藤 今よりも景気のいい感じがしますよね。予算感というのも大いにあると思いますし、造形の凝り方とか、そういう部分も大きいですね。それに、今はおもちゃを買い与える親の立場なので、「これだったら金を出してもいいな」と思えるものがいいんです。カッコいいデザインのものがいい。かわいいものとか、外したやつは買わないんですよ。
──『電王』や『カブト』はリーマンショック前ということなんですかね。それにしても、あくまで父親目線なんですね。
伊藤 そうですねえ。ただ、デザイン抜きにドラマとして面白いなと思ったのは『響鬼』(2005年)ですね。あれはホームドラマですよね。『クウガ』もドラマとして面白かったですね。「何日何時何分、何々区のどこどこ」みたいなあの演出。グッときましたね。
──ドラマとしても楽しむ面はあるものの、やはり伊藤さんのライダーファン活動の軸はグッズなのですね。
伊藤 唯一、小学生と一緒に盛りあがれるものですから。私も親として、子どもにサーフィンをやらせてみたり、サッカーに連れて行ったり、いろいろやっているんですけど、あまり盛りあがらないんですよね(笑)。うちの子どもは『仮面ライダー』が本当に好きなんだと思います。登場人物が殴り合ったりするので、「教育的にどうなんだろう」と思っていた時期もあるのですが、 今ではガンガン観せるようになりましたね。「オタクに育ててもいいか!」ってね(笑)。
■童心に戻れる…? ライダー一筋の理由!
──日曜日の朝は『仮面ライダー』のほかに「スーパー戦隊シリーズ」も放送されます。ほかにもウルトラマンやゴジラなどの特撮作品もありますが、それでもライダー一筋なのですか?
伊藤 この年齢になって童心に戻れる特撮は、やっぱりライダーですかね。分かりやすいヒーローで。時代が変わっても、いろいろと変化しながら表現していることにグッときます。
──アニメなどもお子さんと観られたりしますか?
伊藤 ガンガン観ていますね。子どもと同じ目線で観るんですよ。アニメは、小学校低学年の子どもが喜んで観ているものはほぼ一緒に観ています。あんまりエログロっぽいのは避けたいですが、グロい描写でいうと『鬼滅の刃』はギリOKという判断でした(笑)。コロナ禍以降、初めて子どもを映画館に連れていって観たのは『五等分の花嫁』という学園ラブコメ作品です。事前にテレビ版のほうを観て確認したのですが、「あ、これはいいな」と。過激ではないし、私が子どもの頃に観ていた『めぞん一刻』のような日常モノ風のラブコメなので。
伊藤一朗(いとう・いちろう)
1967年11月10日生まれ。1996年8月、「Every Little Thing」のギタリストとしてデビュー。現在はボーカルの持田香織との2人ユニットとして活動する一方、個人としても精力的に活動。「ELT」は2026年に活動30周年を迎える。